福岡ソフトバンクと、セ・リーグのクライマックスシリーズ覇者・横浜DeNAによる頂上決戦「SMBC日本シリーズ2017」が、10月28日に幕を開けた。今回の日本シリーズでは、予告先発制が採用されず、その視点からも新たな楽しみ方ができる。ここでは、福岡ソフトバンクと横浜DeNAの過去の対戦成績を振り返り、11月4日に行われる第6戦の注目ポイントを挙げたい。
【福岡ソフトバンクの横浜DeNA戦 過去の対戦成績(交流戦)】
2005年 5勝1敗 打率.303 防御率2.38
2006年 5勝1敗 打率.291 防御率2.67
2007年 0勝4敗 打率.246 防御率4.46
2008年 4勝0敗 打率.270 防御率.2.12
2009年 4勝0敗 打率.273 防御率2.50
2010年 2勝2敗 打率.268 防御率5.40
2011年 3勝1敗 打率.336 防御率3.34
2012年 1勝2敗1分 打率.244 防御率2.06
2013年 3勝1敗 打率.250 防御率2.00
2014年 2勝2敗 打率.289 防御率3.18
2015年 2勝1敗 打率.270 防御率1.93
2016年 3勝0敗 打率.330 防御率2.00
2017年 2勝1敗 打率.247 防御率3.12
2005年から始まった交流戦、福岡ソフトバンクの横浜DeNAとの通算対戦成績は36勝16敗1分で、福岡ソフトバンクが貯金20を蓄えている。直近の5年で12勝5敗とこちらも大きく勝ち越し。この数字だけで判断すれば、日本シリーズは福岡ソフトバンクがやや優勢であると言えるだろう。
今回の日本シリーズはヤフオクドームで始まり、初戦は福岡ソフトバンクがパ・リーグ王者の強さを見せ付けて完勝。その後も競り合いをことごとく制して3連勝を決めた。しかし、ここで勝てば日本一が決まる1日の第4戦。もう後がない横浜DeNAは、ルーキー・濱口投手にこの大一番を託す。するとその起用が大当たりし、8回途中まで無安打無得点の快投。福岡ソフトバンクは2安打無得点に抑え込まれ、今シリーズ初の敗戦を喫した。
そして2日の第5戦は、これまでものにしてきた試合と同じように、福岡ソフトバンクが鮮やかに先制した。ところが絶対的な信頼を寄せていた勝ちパターン・モイネロ投手が打ち砕かれて同点に追い付かれ、さらにまさかの適時失策がとどめとなる。横浜DeNAの底力に押され、シーズン中も数少なかった終盤からの逆転負けを味わった。
シーズン通りの強さを発揮できず連敗し、横浜から本拠地に戻ってくることになった福岡ソフトバンク。今シリーズは初戦以降、どちらが勝ってもおかしくない接戦が続いており、失策や継投失敗など、わずかでも隙を見せたチームが試合を落としている。そこで、4日に行われる第6戦では、福岡ソフトバンクの「中継ぎの起用法」に注目したい。
福岡ソフトバンクは今季、先制した試合では73勝9敗、勝率にして.890と圧倒的な数字を残す。また、初回に挙げた87得点はリーグ最多であり、6回終了時にリードを保っていた試合では76勝3敗だ。打線がもぎ取ったリードを自慢の勝ちパターンが守り抜いて、史上最速のパ・リーグ優勝を決めたチームの強さを支えてきた。しかし、その一方で、先発陣の完投数は12球団最少タイの4回(東浜投手2回、武田投手と攝津投手が1回)と、改善点も見え隠れする。
シーズンの疲れを癒す間もなく始まったポストシーズン。特に日本シリーズは移動距離も長く、連日のように総力戦が繰り広げられている。シーズンでフル回転してきた中継ぎ陣の疲労はピークに達していることだろう。クライマックスシリーズファーストステージから這い上がってきた横浜DeNAもそれは同じだが、良くも悪くもシーズンでは起きなかったことが起きるのが短期決戦の特徴だ。福岡ソフトバンクは、2日の敗戦をどのように今後に活かしていくのかが肝要だろう。
4日、再びヤフオクドームに舞台を移して行われる日本シリーズ第6戦。福岡ソフトバンクは3勝2敗、横浜DeNAは2勝3敗でこの一戦を迎える。日本一に王手をかけながら横浜で足踏みを強いられたとはいえ、福岡ソフトバンクの優位はまだ変わらない。今度こそ福岡ソフトバンクは、横浜DeNAの執念を振り切って本拠地で日本一を決めるのか。はたまた一戦ごとに勢いを増す横浜DeNAが三度踏み止まり、今シリーズを第7戦までもつれこませるのか。これまで以上に見応えのある戦いを期待している。
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