歴代13位の通算464本塁打も4年連続落選、米指摘「殿堂入りに相応しい選手を不可解な理由で排除」
かつて猛牛打線を引っ張った助っ人砲は日本野球殿堂入りすべきではないのか―。日本の野球の発展に貢献した人の功績をたたえる野球殿堂入りが15日に発表され、近鉄、巨人、オリックスで歴代13位の464本塁打をマークしたタフィ・ローズ氏は得票数110(当選必要数279)、得票率29.6%(条件は有効投票の75%)で殿堂入りを逃した。プレーヤー表彰の候補者として4年連続落選となったが、T・ローズの殿堂入り落選が米メディアで話題となっている。
「タフィー・ローズと日本の殿堂」との見出しで特集を組んだのは米テレビ局「NBCスポーツ」だ。ローズは1990年にアストロズでメジャーデビュー。カブス時代の94年開幕戦では3打席連続本塁打を放つ離れ業を演じたが、メジャー通算6年間でわずか13本塁打だった。
日本で長距離砲として花が開き、記事では「(大リーグ)彼は決して特別な選手ではなかった。しかし、日本へ渡って13年間プレーし、日本で特別な選手になった」と言及している。さらに、シーズン55本塁打を放ち当時王貞治氏の持っていた最多本塁打新記録がかかっていた近鉄時代の2001年の終盤戦で勝負が避けられたことについても触れられている。
ローズはNPB通算13年間で1674試合出場し、打率.284、464本塁打、1269打点を記録。本塁打は歴代13位、打点は同20位と堂々の大記録で、外国人選手では本塁打歴代1位、打点2位だ。だが、殿堂入り得票ではここまで4年連続で落選。記事では「ローズの通算成績なら日本の殿堂入りの有力候補。しかし4年間の投票では選出に程遠い票数しか得られなかった。ローズにはとにかくサポートがないのである」と指摘している。
なぜ、ローズの殿堂入りは叶わないのかー。過去に殿堂入りした外国人選手は元巨人のヴィクトル・スタルヒン氏、中日などで活躍した与那嶺要氏の2人だけ。ロシアから亡命したスタルヒンは少年時代から日本で育ち、与那嶺氏は日系2世で、記事では「『外国人というステータスに問題があるのでは』と多くの人が考えている」と指摘されているように、米オハイオ州出身の米国人でバリバリの助っ人として来日したローズとは違うとの見方もある。
しかし、記事では殿堂入りの候補者に挙がった元阪神のランディ・バースが得票率64%、東京ヤクルト、巨人などで活躍したアレックス・ラミレスは同40%とローズを大きく上回る得票率を獲得。記事では「人種と国籍は納得のいく答えではないようである。殿堂入りに相応しい選手を不可解な理由で排除する国は、我々だけではない」と締めくくられている。
奇しくもトランプ米大統領が22日の米野球殿堂入り発表を前に、レッドソックスなどで通算216勝を挙げ、トランプ支持派で知られるカート・シリング氏について、「殿堂入りに値する。野球界の誰もが正しいと分かっていることをしろ!」とツイッターで選出を後押ししたばかり。野球選手最高の栄誉と言われる「殿堂入り」。その価値や基準を見直す時期に差し掛かっているのかもしれない。
(Full-Count編集部)
記事提供: