昨季はウエスタンリーグで防御率1.75、1年投げぬいたのは「9年間で初」
福岡ソフトバンクの川原弘之投手が背水の覚悟を示した。19日、福岡・久留米市内で千賀滉大投手、東浜巨投手、松本裕樹投手、埼玉西武の榎田大樹投手、千葉ロッテの種市篤暉投手、オリックスの松葉貴大投手らと、トレーナーの鴻江寿治氏が主宰する「コウノエスポーツアカデミー」のトレーニングキャンプに参加。前年から取り組んでいるフォームの修正、改善を中心に汗を流した。
2009年のドラフト2位で入団した川原。3年目の2012年には、2軍で当時の日本人左腕最速となる158キロをマークして脚光を浴びた。だが、その後は故障との戦い。2015年の開幕前に左肩の手術を受けてオフには育成選手となった。2017年のシーズン中に実戦復帰を果たすと、昨季はウエスタン・リーグで34試合に投げて3勝2敗5セーブ、防御率1.75の好成績をマークした。それでも、登録枠やチーム事情もあり、支配下昇格は叶わなかった。
4年目の育成選手として迎えるプロ10年目。それでも、川原にとっては現役を続けられることが驚きだった。昨季、ウエスタン・リーグで好成績を残したとはいえ、もう27歳。若手から中堅と言われる年齢となり「普通に(選手としては)終わりだと思ってました」と、昨季限りでの戦力外も覚悟した。だからこそ、もう1年貰えたチャンスを「この1年はボーナスステージくらいのつもりで思い切ってやりたいと思っています」と捉えている。
後のない状況であることは、本人が十二分に分かっている。「チャンスはあると思いますが、決して多くはない。キャンプからアピールして(1軍でも)使えそうだと思わせたい。(支配下昇格が)7月ではダメ。早めに、2月、3月で上がれるようでないと」。これまでにない手応えがあるのも事実。そもそもがプロ入り後、1年を通して怪我なく投げ通すことができたのが「9年間で初めて」なのだ。昨オフから取り組んできたフォーム修正が「間違っていない」と思えた。
今季に向けて掲げるのは「精度ですね」。昨季は46回1/3で26四死球を与えたように、フォームと制球にバラつきがあった。このオフはその修正に取り組み「前みたいに引っ掛けたり、抜けたり、というのは減ってきている」。現時点で福岡ソフトバンクの支配下登録枠は65人で余裕がある。2月1日から始まるキャンプでのアピール次第で支配下復帰だけでなく、1軍のマウンドに上がる姿も見られるかもしれない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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