ドラフト1位にも引けを取らない。埼玉西武の「ドラフト3位」

パ・リーグ インサイト 吉田貴

10月26日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。高校・大学・社会人野球のスターが名を連ねるため、ドラフト1位指名を受ける選手に注目が集まるのは当然のことだろう。しかし、現在の球界を担う一流選手が必ずしもドラフト1位指名を受けたわけではない。

埼玉西武は菊池投手や増田投手、森選手などのドラフト1位選手の活躍が目立っているが、実は「ドラフト3位」にも今季の主力選手が集中していることはご存知だろうか。今回は、そんな埼玉西武のドラフト3位選手に注目していきたい。

まずは2008年のドラフト3位・浅村選手だ。第90回全国高等学校選手権大会で、攻守にわたる圧倒的な活躍で母校の優勝に貢献し、高校史上最高の遊撃手とも呼ばれた浅村選手。2年目に早くも一軍デビューを果たすと、2013年は主砲・中村選手不在の中で4番を務め、最多打点、ベストナインに輝く。

今季は栗山選手の後を引き継いで野球人生初のキャプテンを任されると、背番号も自身が熱望した「3」に変更。多くの重圧がかかるシーズンとなったが、それに押し潰されることなく強力打線の主軸を担う。際どいタイミングの内野ゴロで気迫のヘッドスライディングを敢行するなど、キャプテンとして新たな一面が見られるシーズンでもあった。

埼玉西武が誇る5ツールプレイヤー・秋山選手もドラフト3位でプロの世界に入っている。守備の名手としては早いうちから存在感を示していたが、2015年に打撃力が一気に開花、記録尽くしの1年となった。歴代3位タイ(左打者では歴代1位)となる31試合連続安打、史上7人目となるシーズン200安打を達成。最終的には、2010年のマートン選手(元阪神)を上回る216安打を放ち、シーズン最多安打の日本新記録を打ち立てた。

攻守において球界を代表する選手となった秋山選手だが、今季は長打力までもが飛躍的にアップ。打率.322で首位打者のタイトルを獲得する一方、自己最多を大きく更新する25本塁打を記録し、一発を持つ豪快さと、安打製造機としての安定感を両立させた。もはや埼玉西武を語る上で、欠かせない選手の1人である。

埼玉西武は、内野手から外野手へのコンバートに挑戦する選手が多い。2012年のドラフト3位・金子侑選手と、2014年ドラフト3位・外崎選手もそれに該当する。金子侑選手は2016年から本格的に外野手に挑戦すると、53盗塁を記録し最多盗塁のタイトルを獲得。今季は正式に外野手登録され、故障で出遅れながらも変わらぬ韋駄天ぶりを見せた。

外崎選手は今季開幕一軍入りを果たすと、自己最多の135試合に出場。特に、「炎獅子ユニホーム」の着用後は大きく調子を上げ、自身初の2桁本塁打と100安打を記録し、怒涛の13連勝を支えた恐怖の下位打線を担った。

2015年のドラフト3位は野田投手だ。西濃運輸からプロ入りを果たすと、1年目から一軍のマウンドに立つ。今季は昨季を上回る38試合に登板し、防御率1.98と驚異的な安定感。167センチと小柄な体格ながらも、ダイナミックな投球フォームで打者に向かう強気の投球スタイルが魅力だ。

昨年のドラフト3位は、今季のチームのAクラス入りの立役者・源田選手だ。第87回都市対抗野球で優秀選手に選出されると、正遊撃手の不在に苦しんでいた埼玉西武が指名した。社会人時代は守備で高い評価を得ていたが、プロ入り後は打撃も開花。2リーグ制導入後のルーキーとしては56年ぶり4人目のフルイニング出場を果たし、新人歴代単独3位となる155安打を記録する。来季からは「黄金ルーキー」としてではなく「主力」として活躍し、辻監督の求める理想の2番打者の体現者となりたい。

今振り返ると、意外な選手がドラフト1位ではなく3位で埼玉西武に入団していることが分かる。もちろん3位という順位が特別な意味を持っているわけではなく、4位以降の選手でも活躍している選手は多い。つまり、入団してしまえば順位に関係なく全ての選手に活躍のチャンスがあり、飛躍の可能性が平等にあるということである。来年のシーズンは、ドラフト1位以外の選手にも注目してみてはいかがだろうか。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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