パ・リーグ球団別、救援登板数上位5投手から見る数値は…
投手の分業が進む中、救援投手の役割はますます大きくなっている。各球団の主要な救援投手の成績を比較しよう。
パ・リーグ 救援登板数上位5人の投手成績と、その合計の数値を出した。
○埼玉西武 241登12勝8敗29S60H 204回 防3.71
平井克典 64登3勝1敗0S21H 53回 防3.40
野田昇吾 58登1勝1敗1S19H 41回 防3.51
ヒース 42登4勝1敗13S9H 39回2/3 防2.50
増田達至 41登2勝4敗14S2H 38回1/3 防5.17
ワグナー 36登2勝1敗1S9H 32回 防4.22
優勝した埼玉西武は、増田達至が不振に陥り、ヒースがクローザーに回った。中継ぎ陣はヒース、平井がまずますの働きだったが、優秀な救援陣とは言えなかった。強力打線の力で優勝したが、今季の救援陣は安泰とは言えない。
○福岡ソフトバンク 289登14勝9敗38S79H 237回 防3.57
加治屋蓮 72登4勝3敗0S31H 66回2/3 防3.38
嘉弥真新也 67登2勝1敗0S 25H 33回 防2.45
森唯斗 66登2勝4敗37S6H 61回1/3 防2.79
モイネロ 49登5勝1敗0S13H 45回2/3 防4.53
二保旭 35登1勝0敗1S4H 30回1/3 防5.34
絶対的なクローザー、サファテが離脱した後を森がフォローしたのは素晴らしかったが、森が抜けたポジションは、嘉弥真がまずまずの働きも、枚数が足りない印象。セットアッパーが必要だろう。
○北海道日本ハム 257登13勝12敗31S88H 246回2/3 防2.88
公文克彦 57登2勝0敗0S11H 54回 防2.17
宮西尚生 55登4勝3敗0S37H 45回 防1.80
トンキン 53登4勝4敗12S20H 51回 防3.71
石川直也 52登1勝2敗19S18H 48回2/3 防2.59
玉井大翔 40登2勝3敗0S2H 48回 防4.13
クローザーの増井がオリックスに移籍。後釜には当初、石川がまわったが、トンキンにスイッチし、また石川に戻った。ただ2回目の石川は安定感があった。昨季NPB最多ホールドとなった宮西と公文は万全。
最下位の東北楽天は松井が不振も高梨、青山、ハーマンらが活躍
○オリックス 274登17勝14敗36S79H 278回 防3.01
増井浩俊 63登2勝5敗35S9H 65回 防2.49
吉田一将 58登3勝4敗0S21H 56回1/3 防3.83
山本由伸 54登4勝2敗1S32H 53回 防2.89
近藤大亮 52登3勝3敗0S9H 54回 防3.33
澤田圭佑 47登5勝0敗0S8H 49回2/3 防2.54
救援陣は優秀だった。北海道日本ハムからFA移籍の増井がシーズンを通してクローザーとして活躍。近藤も打たれながらもマウンドを守る。新鋭の山本もセットアッパーとして活躍。さらに澤田も勢いのあるボールで好投した。
○千葉ロッテ 268登10勝21敗29S74H 237回2/3 防3.67
益田直也 70登2勝6敗3S17H 64回1/3 防3.08
松永昂大 60登2勝5敗0S26H 40回 防3.15
内竜也 58登3勝5敗26S7H 58回2/3 防3.84
大谷智久45登1勝3敗0S18H 41回2/3 防5.40
南昌輝 35登2勝2敗0S6H 33回 防3.00
内がクローザーだったが、失敗も多く、安定感がなかった。スタミナのある中継ぎの大谷は、昨季、よく打ち込まれた。南は防御率は良かったがWHIPは1.64、走者をよく出した。「柱がいない」という印象だった。
○東北楽天 260登16勝18敗 24S 71H 250回1/3 防2.44
高梨雄平 70登1勝4敗1S16H 48回 防2.44
青山浩二 52登4勝1敗0S26H 48回2/3 防1.85
松井裕樹 51登4勝7敗5S11H 55回1/3 防3.90
ハーマン 47登2勝3敗18S12H 45回1/3 防1.99
宋家豪 40登5勝3敗0S6H 41回2/3 防1.73
絶対的なクローザーの松井が不振でシーズン中にセットアッパーに回ったが、代わったハーマンが素晴らしい働き。救援陣も高梨、青山、宋と優秀な成績。救援陣だけを見れば、なぜ最下位に沈んだのかわからないような成績だった。
救援陣は消耗が激しいために、酷使に留意しなければならない。また常に新しい戦力の補充が必要だ。前年、内容が良かったとしても翌年もそうとは限らない。バランスの良い投手起用と育成力が必要なのだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
記事提供: