10月18日から幕を開けた「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ(以下クライマックスシリーズファイナルステージ)。初戦は3本のアーチを描いた楽天が福岡ソフトバンクに勝利し、その勢いのまま19日の第2戦における息詰まる投手戦をも制した。ファイナルステージ第3戦は、挑戦者・楽天がアドバンテージを含む2勝1敗と優位に立った状態で迎えることになる。
ここでは20日の予告先発や両チームの対戦成績などをもとに、福岡ソフトバンクと楽天が激突するファイナルステージ3戦目の試合展開を占う。
【過去5年の公式戦対戦成績】
2013年福岡ソフトバンク:12勝 楽天:12勝
2014年福岡ソフトバンク:12勝 楽天:12勝
2015年福岡ソフトバンク:16勝 楽天:8勝1分
2016年福岡ソフトバンク:16勝 楽天:8勝1分
2017年福岡ソフトバンク:13勝 楽天:12勝
2015年からの2年間は福岡ソフトバンクが8つの勝ち越しを果たすも、その他の年は五分。今季は福岡ソフトバンクが1つ勝ち越しているが、楽天以外のパ・リーグの4球団は全て、福岡ソフトバンクに7つ以上負け越している。楽天は、史上最速でパ・リーグを制した福岡ソフトバンクと唯一互角に渡り合ったチームだと言える。
【今季のレギュラーシーズンの対戦成績詳細】
・福岡ソフトバンク
25試合13勝12敗 80得点 91失点 打率.232 防御率3.35
・ヤフオクドーム楽天戦
13試合6勝7敗 打率.202 防御率3.67
・楽天
25試合12勝13敗 91得点 80失点 打率.221 防御率2.98
・ヤフオクドーム福岡ソフトバンク戦
13試合7勝6敗 打率.229 防御率1.95
ホームで52勝20敗と圧倒的な強さを誇った福岡ソフトバンクだが、ヤフオクドームでは楽天が勝ち越し。楽天投手陣の防御率1.95は恐るべき数字である。しかしそれだけの成績を残しながら、勝ち越しはわずか1つ。シーズンの首位攻防戦で楽天は、福岡ソフトバンクとの投手戦にことごとく敗れている。楽天野手陣の奮起と福岡ソフトバンク投手陣の調子の良し悪しが、ファイナルステージの勝敗を左右するだろう。
【10月20日の予告先発 今季のレギュラーシーズンの対戦成績】
・福岡ソフトバンク:和田投手
対楽天 1試合0勝0敗 7回、0失点 防御率0.00
・楽天:則本投手
対福岡ソフトバンク 7試合3勝3敗 51回2/3、13失点(自責点10) 防御率1.74
和田投手と楽天打線は、今季9月3日に一度対戦したきりだが、その試合では和田投手が7回3安打無失点に抑え込んでいる。楽天打線は左打者を多く擁しているため、左腕の利点を活かせる可能性も高い。ベテランの域に達した和田投手は、大舞台の経験も豊富。ここで福岡ソフトバンクが敗れると、楽天がクライマックスシリーズ突破に王手をかける状況であるだけに、その投球にかかる期待は大きい。
則本投手は、明確に福岡ソフトバンク打線と相性が良い。しかし防御率のわりに貯金を作ることはできなかった。則本投手が本来の力を発揮することはもちろんだが、楽天打線は初戦と第2戦を制した良い流れのまま、エースに少しでも多く援護をもたらしたい。埼玉西武とのファーストステージ初戦で悔しい敗戦を喫した則本投手。相手は違うが、改めてエースの存在感を見せ付けるため、この一戦に懸ける思いは強いことだろう。
【対和田投手のキーマン】
・アマダー選手:2打数1安打 打率.500
・藤田選手:2打数1安打 打率.500
【対則本投手のキーマン】
・髙田選手:12打数4安打1本塁打 打率.333
・甲斐選手:11打数3安打 打率.273
・内川選手:7打数4安打 打率.571
対戦機会が少ないが、和田投手との対戦で安打を放っているのは、アマダー選手と藤田選手。アマダー選手のような外国人選手が持つ一発と、藤田選手のような器用な選手が駆使する小技の融合が、楽天の強みだ。エース対決ではロースコアのゲームが予想される。わずかな好機を逃さず、豪快にあるいは泥臭く決勝点をもぎ取りたい。
一方、則本投手に相性が良いのは、髙田選手と甲斐選手と内川選手。内川選手以外は長打力を誇るタイプの打者ではないが、ファイナルステージにおける福岡ソフトバンクは2試合ともソロによる得点しか挙げられておらず、その一発はいずれも勝利につながらなかった。前の2試合とは異なる攻め方を駆使しながら、攻撃からの良い流れを呼び込みたい。
クライマックスシリーズファイナルステージ第2戦は、初戦に引き続いて、鉄壁の救援陣を誇る楽天が僅差のゲームを制した。これで楽天が2勝1敗の勝ち越し。20日の第3戦では挑戦者・楽天が速やかに王手をかけるのか。それとも、王者・福岡ソフトバンクが意地を見せるのか。レギュラーシーズンとは一線を画した緊張感の中で繰り広げられる試合からは、片時も目が離せない。
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