巨人が優勝12回とセパ合わせ断トツの1位
平成は今年4月30日で終了する。この30年間、日本のプロ野球はどんな勢力図を描いたのか。平成30年間の野球界をデータで振り返ろう。まずはチーム成績、30年間の勝敗のランキングをしてみよう。
セ・リーグ 優勝はリーグ優勝。CSの勝敗は含まない。
1巨人 4156試2247勝1829敗80分 率.551 優勝12
2中日 4160試2091勝1983敗86分 率.513 優勝5
3東京ヤクルト 4162試2033勝2049敗80分 率.498 優勝6
4広島 4161試2014勝2062敗85分 率.494 優勝4
5阪神 4160試1965勝2118敗77分 率.481 優勝2
6横浜DeNA 4161試1828勝2257敗76分 率.447 優勝1
※横浜DeNAは大洋、横浜時代を含む。
最近は優勝から遠ざかったが、巨人が勝率でも優勝回数でも1位。2位の中日とは155ゲーム差がついている。平成は今年の4月30日まで続く。各球団は30試合弱を消化するが、この差を挽回することはできない。2位の中日は21世紀に入り、落合博満監督時代に8年間で優勝4回、2位3回、3位1回と強かった。
3位の東京ヤクルトは90年代、野村克也監督時代に3回優勝している。現在リーグ3連覇中の広島だが、1991年、山本浩二監督時代に優勝してから2016年に優勝するまで25年も優勝がなかった。阪神は95年から2001年までの7年間で6回最下位。ファンが今も「暗黒時代」と呼ぶ弱い時代があった。このことが響いて5位。横浜DeNAは1998年、横浜時代に優勝したが、以後長く低迷。横浜DeNAとなったここ数年は、CS争いに絡むようになっている。
平成トータルのリーグ優勝は巨人ということになる。しかし巨人は、戦前、1リーグ時代は勝率.656(783勝410敗、14期で8回優勝)、2リーグ以降の昭和期は勝率.593(2892勝1988敗 39年で24回優勝)と圧倒的な強さだったから、相対的には弱くなったといえる。ドラフト制度などで、戦力均衡が進んだのだ。セ・リーグ各球団の試合数が異なるのは、1990年から2000年まで引き分け再試合制度だったためだ。
埼玉西武が福岡ソフトバンクを上回りV11回、近鉄はオリックスよりも多い2回の優勝
パ・リーグ
1埼玉西武 4129試2208勝1816敗105分 率.549 優勝11
2福岡ソフトバンク 4129試2127勝1891敗111分 率.529 優勝8
3近鉄 2133試1066勝1016敗51分 率.512 優勝2
4北海道日本ハム 4129試2007勝2026敗96分 率.498 優勝5
5オリックス 4129試1940勝2081敗108分 率.482 優勝2
6千葉ロッテ 4129試1898勝2124敗107分 率.472 優勝1
7東北楽天 1996試889勝1061敗46分 率.456 優勝1
※福岡ソフトバンクは福岡ダイエー時代を含む。
パ・リーグは2004年の球界再編で近鉄がオリックスと合併している。また翌年から東北楽天が新規参入している。このために7球団となる。1位は埼玉西武。1979年に福岡から埼玉に本拠地を移転し、90年から98年までの9年間で7回優勝するなど黄金時代を迎えた。以後も、極端に弱くなることはなく、強豪の一角を占めている。福岡ソフトバンク、オリックスは平成元年にそれぞれ親会社が変わった。
南海から福岡ダイエーとなり福岡に本拠を移転したホークスは、当初は弱かったが王貞治監督時代に強くなり、2005年に福岡ソフトバンクとなってからはグループの資金力を背景に強豪となった。阪急から親会社が変わり、愛称もブレーブスからブルーウェーブになったオリックスはイチローが在籍した当時は強かったが近年は低迷している。2005年に近鉄と合併し、オリックス・バファローズとなった。
北海道日本ハムは2004年に北海道に移転してから優勝5回、優れた育成力で有力チームになった。千葉ロッテは2010年に3位から「下剋上日本一」になるなど、強いときもあるが長続きしていない。2004年に合併で消滅した近鉄は、勝率5割を超え、決して弱いチームではなかった。
代わって新加入した東北楽天は、当初は弱かったが、2013年に初優勝。以後は他球団との格差が縮まっている。パの優勝は埼玉西武。2位福岡ソフトバンクとは78ゲームあるので、これも挽回は不可能だ。昭和時代に比べると、平成のプロ野球はチーム間の格差が縮まり、優勝チームが目まぐるしく変わるようになった。プロ野球人気の高まりは、戦力均衡も大きな一因だったといえるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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