17年シーズンに退団した武田氏、日本通運の後輩・生田目は「武田久さんのように!!」
このオフ、意外なところで懐かしい名前を聞いてうれしくなった。元北海道日本ハムの武田久さん。17年シーズン終了後に退団し、投手兼コーチとして古巣の日本通運に在籍している。
最初にその名を口にしたのは、今年ドラフト3位で北海道日本ハムに入団した生田目翼投手(日本通運)だった。11月のファンフェスティバルで「武田久さんのように!! みなさんから愛される投手に」と書き込んだ色紙を披露したのだ。
昨年のファンフェスティバルで武田さんが北海道日本ハム退団と日本通運入りをファンにサプライズ報告してから1年。そのスピリットを受け継ぐ新人が同じ舞台に登場し、武田さんの名前を引き合いに出して入団あいさつを行うという何ともドラマチックな光景だった。
生田目自身は、流通経済大時代のドラフトで指名漏れを経験している。2年前の悔しい思い出も「遠回りではなかった」と言えるのは、武田さんとの出会いがあったから。今季同じチームで過ごし、プロの投手として生き抜くために必要な様々な技術や考え方を教わったという。
最速155キロを誇る本格派右腕は、目標とする選手として武田さんの名前を挙げる。「1年目から活躍して、長くこのファイターズにいられるように」と日本通運からドラフト4順目で入団して3度のセーブ王を獲得した大先輩の足跡を追いかける。
「セールスポイントは相手打者に向かっていく強い気持ち。打者に気持ちで負けないようなピッチングをすること」と入団会見で語った生田目。恩師と同じ強気な投球スタイルで、投手陣のサバイバルレースを勝ち抜いてほしい。
シーズン途中にクローザーを任された浦野「すごく参考にしています」
もうひとり、武田さんの教えを大切にしている選手がいる。今季途中にクローザーを任された浦野博司投手。契約更改後の会見で参考にしている投手として、武田さんの名前を挙げたのだ。
「(16年春に右肩を)けがをした時からずっと参考というか、直接指導もされました。すごく参考にしています。いろいろアドバイスももらったりしていたので」と明かした。リリーフとしての適性を見出された今季、36試合に登板して、2勝2敗9ホールド7セーブ、防御率2.16の好成績を残した背景に、武田さんの教えがあったのかと思うと、心が温かくなった。
プロ15年間で534試合に登板し、167セーブ、107ホールドを記録した小さな大投手・武田さんがプロ野球界を去ったことは寂しいけれど、その系譜を受け継ぐ者がいる。来季は、2人の姿に、武田さんとの共通点を探してみようと思っている。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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