西岡、今江、大松以外のレギュラーはほとんどが30代
10年ひと昔という。10年前の野球界はどんな様子だったのか。2008年の野球界を数字で追いかけよう。今回は千葉ロッテだ。
2008年 千葉ロッテマリーンズ 73勝70敗1分 勝率.510 4位
この年のパ・リーグは首位埼玉西武から4位千葉ロッテまでが4.5差という混戦。序盤に独走した埼玉西武が調子を落とし、2位オリックス、3位北海道日本ハムが追いかける構図。千葉ロッテは5月、6月と負け越して最下位に沈んだが7月に16勝9敗と盛り返し、3位北海道日本ハムを急追したが0.5差でCS進出を逃した。
4年目のボビー・バレンタイン監督は3回目のCS進出がならなかった。
○打線 左端の数字は打順、打率の横の()は順位
1遊・西岡剛(24歳) 116試 473打142安 13本 49点 18盗 率.300(10)
2二・根元俊一(25歳) 110試 314打93安 3本 29点 9盗 率.296
3一・福浦和也(33歳) 105試 310打78安 1本 44点 0盗 率.252
4外・サブロー(32歳) 105試 346打100安 6本 56点 6盗 率.289
5外・大松尚逸(26歳) 134試 447打117安 24本 91点 1盗 率.262(24)
6三・今江敏晃(25歳) 117試 405打125安 12本 55点 3盗 率.309(6)
7指・ベニー(37歳) 97試 279打79安 5本 42点 3盗 率.283
8外・早川大輔(33歳) 133試 369打92安 5本 32点 18盗 率.249
9捕・里崎智也(32歳) 92試 330打86安 15本 45点 1盗 率.261
内・オーティズ(31歳) 100試 337打97安 11本 37点 1盗 率.288
捕・橋本将(32歳) 93試 280打87安 11本 55点 1盗 率.311
一・ズレータ(33歳) 73試 241打52安 8本 33点 1盗 率.216
外・大塚明(33歳) 103試 139打37安 3本 20点 7盗 率.266
外・竹原直隆(28歳) 67試 116打21安 3本 16点 1盗 率.181
二・堀幸一(39歳) 41試 93打19安 0本 6点 2盗 率.204
遊撃の西岡は2年連続の3割、3塁の今江も3割を打ち、4年連続のゴールデングラブを受賞。大松も中軸打者として活躍したが、他の野手陣は固定できず、打線は猫の目打線となった。捕手の里崎が4番を打つこともあった。レギュラー級の選手は軒並み30歳を超え、高齢化が進んでいた。
先発投手陣は安定も救援の枚数が足りず
○投手陣 防御率の横の()は順位
先・渡辺俊介(32歳) 26登13勝8敗 0SV 0HD 172回2/3 防御率4.17(18)
先・清水直行(33歳) 25登13勝9敗 0SV 0HD 165回2/3 防御率3.75(15)
先・成瀬善久(23歳) 22登8勝6敗 0SV 0HD 150回2/3 防御率3.23(7)
先・小林宏之(30歳) 23登5勝12敗 0SV 0HD 138回 防御率5.02
先・唐川侑己(19歳) 15登5勝4敗 0SV 0HD 81回2/3 防御率4.85
先・小野晋吾(33歳) 15登5勝4敗 0SV 0HD 73回1/3 防御率6.50
兼・久保康友(28歳) 33登4勝7敗 0SV 7HD 91回 防御率4.95
中・伊藤義弘(26歳) 51登0勝0敗 0SV 9HD 59回 防御率3.05
中・シコースキー(34歳) 54登5勝1敗 1SV 13HD 48回1/3 防御率2.23
中・小宮山悟(43歳) 33登3勝2敗 0SV 2HD 39回1/3 防御率5.72
中・川崎雄介(26歳) 65登2勝5敗 1SV 29HD 60回 防御率3.00
抑・荻野忠寛(26歳) 58登5勝5敗 30SV 1HD 58回2/3 防御率2.45
兼は先発、救援の兼任
渡辺、清水、成瀬、小林の4投手がローテーションを維持。投球内容は優秀とは言えなかったが、試合を作ることはできた。
2007年のドラフトで大阪桐蔭高の中田翔、仙台育英高の佐藤由規とともに「高校ビッグ3」の一人として注目された成田高の唐川侑己は、4月23日の福岡ソフトバンク戦で1軍初先発。勝利して「平成生まれ最初の勝利投手」になった。最終的には5勝。
救援では2年目の荻野がクローザーに定着。中継ぎ陣ではシコースキー、伊藤、川崎が優秀だったが、枚数がやや足りない印象だった。
この顔ぶれで現役選手は、野手では今年2000本安打を達成した福浦和也。今江は、FAで東北楽天に移籍して健在。根元俊一は今季限りで引退、コーチ就任。西岡はMLBに挑戦した後阪神に入団したが今季戦力外に。大松尚逸も東京ヤクルトに移籍したが今季戦力外になった。
投手では唐川が現役。成瀬善久はエースとして活躍したのち東京ヤクルトに移籍。今季戦力外となったが、オリックスが春季キャンプで入団テストを行うという。
長野は入団拒否、育成の西野は今も現役、岡田は今年限りで引退
○ドラフト会議
1位 木村雄太(投手)東京ガス
2位 長野久義(外野手)Honda※入団拒否
3位 上野大樹(投手)東洋大学
4位 坪井俊樹(投手)筑波大学
5位 山本徹矢(投手)神戸国際大学附属高
6位 香月良仁(投手)熊本ゴールデンラークス
育成
1位 木本幸広(投手)日高高中津分校
2位 鈴江彬(投手)信濃グランセローズ
3位 角晃多(内野手)東海大学付属相模高
4位 生山裕人(内野手)香川オリーブガイナーズ
5位 西野勇士(投手)新湊高
6位 岡田幸文(外野手)全足利クラブ
7位 吉田真史(内野手)太田工業高
8位 田中崇博(投手)八日市南高
ドラフトと育成ドラフトで12球団最多の14人を指名したが、2位指名の長野は入団拒否。
本指名6人のうち、入団した5人はすでに退団。育成指名選手のうち、5位の西野が現役で投げている。6位の岡田は外野守備の名手としてゴールデングラブを2回受賞。今季、引退を表明した。
バレンタイン監督は翌2009年に退任。退任に際して一部ファンが抗議行動を起こした。この年の観客動員は、前年から32万人増の141万人。この時期から熱心な千葉ロッテファンが増加し、人気は高まっていった。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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