12月6日、千葉ロッテは細川亨捕手が入団することを発表した。通算1396試合に出場し、ゴールデン・グラブ賞とベストナインをそれぞれ2度受賞した38歳は、実働17年間で在籍チームが13度Aクラス入りした「Aクラス請負人」でもある。自らの貴重な経験を若手に伝え、2年間低迷を続けるチームを変えられるだろうか。
「日本一請負人」は強豪チームで正捕手を張れるからこそ
2001年ドラフト自由獲得枠で西武に入団した細川選手は、野田浩輔氏や炭谷銀仁朗選手(現・巨人)との競争に勝利し、名捕手・伊東勤氏の後継者としてチームの正捕手へと定着。強肩と高い守備力に加え、パンチ力のある打撃を武器にリーグ屈指の捕手へと成長を遂げ、2004年と08年の2度の日本一に大きく貢献した。
埼玉西武において確固たる地位を築いた細川選手は、2010年のオフにFA権を行使し、福岡ソフトバンクへ移籍。高谷裕亮選手や鶴岡慎也選手(現・北海道日本ハム)と出場機会を争いながら、主力捕手として活躍した。円熟味を増したインサイドワークで常勝軍団形成の一翼を担い、在籍6年間で3度達成した日本一にも確かな貢献を果たしている。
2017年からは自身3球団目となる東北楽天に活躍の場を移し、嶋基宏選手の控えとして豊富な経験をチームに還元。2017年6月28日には、故郷の青森県で29年ぶりに行われたプロ野球一軍公式戦で、初の先発出場を果たし、移籍後初安打も記録した。
しかし今季は一軍での出場試合数がわずか2試合にとどまり、チームも前年のAクラスから一転して最下位に沈んでしまう。オフには戦力外通告を受け、退団が決まった。
そんな細川選手に目を付けたのが、金澤岳氏の引退によって捕手陣が全員20代になっていた千葉ロッテだった。かつて細川選手自身も薫陶を受けた伊東氏の愛弟子・田村龍弘選手をはじめとする若手たちにとって、パ・リーグの酸いも甘いもかみ分けてきた大ベテランのプレーやアドバイスは「生きた教材」となることだろう。
ジャーニーマンとしての知識を千葉ロッテに還元できるか
細川選手にとって千葉ロッテは4つ目の在籍チームだ。捕手としてNPBの4球団以上を渡り歩いた選手は、そう多くはない。光山英和氏(近鉄、中日、巨人、千葉ロッテ、横浜)、山中潔氏(広島、福岡ダイエー、中日、日本ハム、千葉ロッテ)などは5球団に在籍したが、いずれの選手のキャリアもリーグをまたいだものとなっている。同一リーグのみで4球団目という細川選手の球歴は、きわめて珍しい。
千葉ロッテへの入団が決定した際に、「とにかくキャッチャーとしてピッチャーをリードしアドバイスし、若いキャッチャーにも自分の姿を見て勉強をしてもらえるように頑張るだけだと思います」、「千葉ロッテマリーンズはすごい応援の後押しがあるので、その応援の後押しをもらいながら日本一になるためにチームに貢献したいと思います」と意気込みを語った細川選手。
戦国パ・リーグを17年間生き抜き、行く先々でチームの成功に貢献してきた男の経験は、千葉ロッテを変える貴重なピースとなるかもしれない。
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