ロッテ、愛斗と来季の契約結ばず…現役続行を希望。外野守備、1つ先を狙った走塁、代打バントなどが武器

ベースボールキング

ロッテ・愛斗(撮影=岩下雄太)
ロッテ・愛斗(撮影=岩下雄太)

 ロッテは25日、愛斗外野手に来季の契約を行わないことを通知したと発表した。

 愛斗は現役ドラフトで24年に加入。ストロングポイントは、隙を見せない外野守備だ。「常に相手の隙を狙っているというのはありますけど、自分が良いプレーしたいという気持ちは全くなくて、このアウトを取ればピッチャーの人生が救われて、これが捕れなかったらピッチャーの人生が終わるというのを思いながら練習からやっている。人のために守っています」

 ピッチャーの野球人生を背負い守ってきた。そして、難しい打球を簡単に捕るように見せてきた。24年4月17日の西武戦、2-0の9回二死二塁で山村崇嘉が放ったライトフェンスぎわの大きな飛球をフェンスにぶつかりながらも何事もなかったようにキャッチ。

 「オドオドしながら捕るのとか、ギリギリ合わせて捕るというのは、ピッチャーもキャッチャーも不安だと思うんですよ。難しい打球、人が難しく捕る打球をいかに簡単に捕るように見せるか。そうすることで、愛斗のところに飛んだら大丈夫と、安心すると思うんですよ。そこの信頼関係だと思うので、難しかった打球を難しく捕るのは誰でもできる。難しい打球を簡単に捕れることは誰もできないと思うので、その準備は前もってやっています」

 試合前練習のノックや打球捕などで、その日のZOZOマリンスタジアムの風などを計算して練習。「バッティング練習の打球と試合の打球は違うんですよ。なので、その人が今どういう状況にあるのか、進塁状況がどうなのか、状態はどうなのか、このピッチャーの球速帯でここに打って来れるのかとか、これだけは一番やっちゃいけないとか、色々あるじゃないですか。それをいく前に全部整理しているんですよ」

 「僕とかだったら、ベンチで見ていることが多いんですけど、ぼーっと見ているようで、こうやって打っているんだとか、こういうふうに打ちたいんだ、この選手の状況はこうなんだとか、全てを加味した上でここに守ると決めて守っています」

 同年6月9日の広島戦、1-1の8回一死一、二塁で松山竜平の左中間の当たりをセンター・髙部瑛斗がダイビングキャッチを試み後ろへ弾くも、カバーに入っていたレフト・愛斗が素早く処理し、一塁走者の生還を許さなかったこともあった。

 「一番売りというか、自信があるところなので、自分にとってそれが当たり前にできている。頑張ってやろうじゃなくて、そうするのが当たり前と思いいながら、ずっとできているので、そこを変えずにやっていきたいですね」

◆ 走塁への意識

 走っても相手の隙をついた走塁ができ、その意識は非常に高い。「バッティングにフォーカスしてみんな一生懸命やるんですけど、僕がずっと思っているのは野球は打撃だけじゃないと思っているので。守備もあれば走塁もありますし。盗塁ができないから走塁はいらないじゃなくて、盗塁ができないんだったら、一歩目を速くして判断よく、ランナー二塁からホームに還ってくるとか、一塁から三塁に行くとか。外野フライを打つのは難しいし簡単なことではない。バッターもフライを打っているわけだから、ちょっと浅くてもいいスタート切れれば、足の速さではないと思う」

 特に今季は6月28日のソフトバンク戦、0-3の5回無死一塁で友杉篤輝の左飛でレフト・近藤健介の捕球体勢を見て、二塁にタッチアップする好走塁。

 「だいたい走塁とか守備とかのいける、いけないというのは自分の判断だと思っています。自分が外野手でああいう捕り方をして、あの体勢になった時点でいけるなと思ったのでいきました」

 9月6日のオリックス戦では、3-0の9回二死二塁で山﨑剛に対し、権田琉成が1ボール2ストライクから投じた5球目132キロフォークの時に完全に投球モーションを盗み三塁盗塁成功。「野球はバッティングだけじゃない。隙があれば突くのが走塁で、隙を作らないのが守備。そこを常に。僕はそうやって教えられて野球人生を歩んできた。そこを変えたくないので、その意識は常に持ってやっています」

◆ バント、右打ち

 バッティングでも昨季は4度の送りバントの機会全て初球で決め、そのうち3度得点に繋げた。愛斗は100%送りバントを決めないといけない場面について、「自分的には集中しすぎない、絶対決めると思わないというか、(絶対に決めると)思えば思うほど、固まっちゃうので。絶対決めるとか思わない。できるだけ力を抜いて、バットは前に置いとくくらい。ここから角度を変えない。来たらバットに当てるくらいのイメージ」で行っているが、高い確率で成功するのは日頃の準備があるからといえる。

 ”進塁打”も武器だ。今年8月4日の西武戦、2点を追う2回、ロッテは西武先発・平良海馬から先頭の上田希由翔が四球、小川龍成のバント安打で無死一、二塁のチャンスを作る。ここで打席には愛斗。

 「結果的に昨日(8月4日)5点入りましたけど、ピッチャーが平良でそんなにチャンスを作れるピッチャーではない。12球団を見てもトップクラスで良いピッチャーなので、チャンスを作れる機会が少ないと思った。1回(の攻撃)もチャンスで点が入らなくてというのがあった。平良でチャンスを作るのは、ラストチャンスくらいのイメージだったので、なんとしてでも点を取れるような展開にしたいという気持ちでした」

 愛斗は「サインはバントじゃなかったので、じゃあ今自分が何できると考えて進塁打が自分の中では正解というか、一番やった方がいいことだなと思いました。ヒットを打つよりも後ろに繋げる。一死二、三塁で山﨑さんが9番にいて、繋がっていけば(藤原)恭大、(西川)史礁といるので、そこに繋げた方が対平良としてはいいなと思ったので、そういう選択を取りました」と、平良が3ボール2ストライクから投じた6球目のストレートを一、二塁間へのセカンドゴロで一塁走者・小川、二塁走者・上田をそれぞれ進めた。愛斗は長打にこだわり取り組んできた中で、チャンスで回ってきた打席、7月26日のオリックス戦以来、久々のスタメンで結果を残したい思いは当然強かったはずのなか、チームが得点に繋がる方法を選択した。

 「本当にヒットを打つだけ、ホームランを打つだけではないとずっと言っているので、打つだけじゃない。チーム打撃もしなきゃいけないし、バントだったり、エンドランだったり、盗塁もしなきゃいけないし、守備もしっかり守らないといけないのが野球だと思っています」。1番・藤原恭大がライト前に適時打を放ち、愛斗の進塁打が得点につながった。

 「もともと作戦系、バント、エンドラン、右打ちとかは苦手なタイプではなかったので、そこは確実にできる準備。ただ、できない時もあるんですよ。難しいので、右に打ちたくても打てない時もありますし、ピッチャーが勝る時も全然あると思う。バントも絶対に決められる保証はないので、その確率をどう上げるかというところを、ただ打つだけじゃなくて、走塁、守備もそうですし、バント、エンドラン、右打ち、犠牲フライもそうですし、それにヒットがついてくればいいかなという感じなので、全部において意識してやっています」

 今回ロッテから来季の契約を結ばないことを通知されたが、愛斗はブレずに自分のやれること、後悔しないように日々野球と向き合ってきたのは事実だ。隙を見せない外野守備と相手の隙を突いた走塁、そして長打にこだわりながらバント、右打ちといった自己犠牲で、目立たないがチームのために貢献してきた。球団から送られてきたプレスリリースでは、愛斗は『現役続行を希望しています』とのことだ。来季、違うユニホームを着て、グラウンド上で躍動している姿を見たい。

取材・文=岩下雄太

特集
パ・リーグ.com ニュース

ロッテ、愛斗と来季の契約結ばず…現役続行を希望。外野守備、1つ先を狙った走塁、代打バントなどが武器