ロッテ・西野勇士「来年はないなというくらいの気持ちだった」今季最後の登板で意地の投球。同世代が引退していく中で「やれるだけやっぱりやりたい」

ベースボールキング

ロッテ・西野勇士 (C)Kyodo News
ロッテ・西野勇士 (C)Kyodo News

 「投げさせてもらえるということで、ここでいいアピールをしておかないと、来年はないなというくらいの気持ちだった。そこは良かったかなと思います」

 ロッテの西野勇士は、今季最終登板となった10月5日の西武戦、7回を無失点に抑え、意地を見せた。

◆ 今季に向けて

 西野は先発に再転向した23年が8勝、翌24年はシーズン自己最多の9勝とベテランと呼ばれる年齢になっても、変わらず安定した投球を見せていた。昨季はシーズン序盤打線の援護に恵まれない登板があったことに加え、故障で離脱した時期もあり、9試合・49回2/3を投げ、0勝4敗、防御率3.08と未勝利に終わった。

 今季に向けて「ハードにやれたと思います」と厳しいトレーニングを積んだ。今季初実戦となった2月21日の楽天とのオープン戦は2回を投げ3失点だったが、2月28日の楽天戦は3回を無失点。

 「(少し考えた後)やりたいこと、やろうと思っていることがうまくマウンドで出ていないので、バッターが立ってマウンドに立っても、それをちゃんとやって結果どうこうと言うよりは、それができるかどうかと言うのは大事だと思うんですけど、それがうまくできていない。正直めちゃくちゃ調子がいいかと言われたら、そんなことがないと思って、とりあえず2試合はそんな感じですね」

 「もちろん競争があると思いますが、監督も変わったので、そう言うところもあると思うんですけど、行き当たりばったりの調整で結果出たとしても、シーズンでうまくいかないと思う。ある程度、自分が思い描いたボール、変化球、自分でコントロールできるようになることの方が、開幕に向けては正直大事かなと思う。もちろん結果は大事なんですけど、どちらかというと自分の調子をとにかく見つけた課題を1つずつ潰して、よくしていけたらいいのかなと思います、今は」

 3月8日の日本ハムとのオープン戦はシュート、スライダー中心の投球で4回4失点、3月17日の阪神とのオープン戦では0-0の初回一死二塁で森下翔太にインコースのシュートを執拗に攻め追い込み、3ボール2ストライクから外角の126キロスライダーでハーフスイングの空振り三振に仕留めるなど、5回を2失点にまとめた。3月25日のヤクルトとの二軍戦は5回を無失点に抑え、開幕ローテーション入りを果たした。

 「緊張感はあります。常に競争もあると思うし、結果を出さないと、と思うので、緊張しますね。とにかく自分の良さはそこだと思うので、すごい緊張するかもしれないですけど、できるだけ冷静にしっかりゲームを作れたらいいなと思います」

 今季初登板となった4月2日の日本ハム戦は6回6失点だったものの、4月9日のオリックス戦は5回6安打1失点にまとめた。特に4月9日のオリックス戦は、シュートが抜群に良かった。特に廣岡大志に対し、インコースのシュートを1打席目に意識させて、2打席目(捕飛)、3打席目(遊併)は外のスライダーで打ち取ったのは見事だった。

 「全体的に調子が良かったですよ。まっすぐもシュートもスライダーもコントロールできていたし、打たれたヒットは、シーモアと太田ぐらい。太田は上手く打たれましたけど、相手が一枚上手だったところを打たれている感じがするので、ヒットはどっちも低めのボール球。宗も野口も。西川のは打ち取ってはいるので、仕方がない1点だとして、全体的には良かったです」

 武器であるフォークは、0-0の2回先頭のシーモアを2ストライクから空振り三振に仕留めた3球目の139キロが良かった。「いい球もあれば悪い球もある感じはしますけど、全体的に見たらアベレージ的には良かったかなという感じですね。もう少し安定性が出れば、もっと戦えると思うんですけどね」

 続く登板は中6日で一軍ではなくファームのオイシックス戦に先発し6回1失点、4月25日のハヤテ戦に先発し2回無失点に抑え、4月29日の楽天戦と5月6日のオリックス戦は中6日で一軍の試合で先発した。

 中7日で先発した5月14日の日本ハム戦では、「久しぶりなので、嬉しかったです。楽観的にみていたというか、僕の仕事はとにかくゲームを作ってというところ。それをしていけば勝手に勝ちが付いてくるのかなという。その気持ちでずっといたけど、勝ちがつくことがなくて、ゲームを作れているけど勝ちがつかないとか色々あった。でもそこは気にしていなかった。いざ勝ちがついたら、すごく嬉しかったですね」と、8回0/3を投げ、5被安打、1失点で24年9月28日の西武戦以来593日ぶりの勝利。

 同日の日本ハム戦は、右打者に対して内側のシュートを意識させて外のスライダーの勝負ではなく、右打者の外のスライダーでカウントを取り、追い込んでからインコースのシュートの配球が目立った。

 「基本はでも左右の揺さぶりはあると思うんですけど、もちろんデータもあったりするので、その日によって攻め方は変わると思いますが、深いカウントまでいっていないのでなんとも言えないです。レイエスとかあの辺は得点圏で当たると怖いので、どうやって組み立てるかみたいな話はずっとしていました。最初の1、2打席はインサイドをうまく使って、速い球でスライダーでどれだけ意識を持っているのか、初球で見たりしながら、組み立てていけたのかなと思います」

 開幕直後にもう少し安定性が出れば、もっと戦えると話したフォークについても「バッターの反応はいいですね。個人的にはもっと三振を取れるような、空振りを取りたいですけど、結果的には抑えているので、それはそれでいいかなと思います」

 続く5月23日の楽天戦で5回1/3を投げ、6失点で降板すると、その後はファームで過ごした。

 6回を4安打1失点に抑えた7月11日のハヤテ戦では、0-0の初回一死走者なしで左打者の平尾柊翔に1ボール2ストライクから珍しく123キロインコースカーブで空振りに仕留めるなど、勝負球でフォークやスライダーではなく、カーブを使うケースが多かった。同日先発マスクを被った松川虎生に確認すると、「試したいところもあったので、話し合いながら、2人目のバッターの時に粘られたので、カーブを使おうかなと思って出したという感じです。ボールを使えるカウントだったので、使ったという感じです」と説明した。

 8月23日の日本ハム二軍戦では、11-4の7回二死走者なしでエドポロ ケインに1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角135キロのスライダーはいつも投げるスライダーよりも球速が速かった。

 「新しく速いスライダーというか、結果的に速いスライダーになっていますけど、イメージは速くて縦にというスライダーを作りたくて、練習でやっています。フォークが安定して調子が良い時が少ないので、そういう時に何か他に空振りだったり、頼れる球が欲しいなと。本当はフォークで取れれば一番が良いんですけど、それがうまく行っていないから、新しくちょっと練習していこうかなという感じです」

 「(フォークは)良い日もあるしそうじゃない時もあるので、もしかしたらそうじゃない日が来るかもしれないじゃないですか、そうなった時にまっすぐとスライダーとシュートで勝負するのってなった時に苦しいので、もう1個頼れる球があれば。もちろんフォークが良くても、使うとは思うんですけど、どうにか試合を作るために安定させるために今は一つ必要かなと思います」と速いスライダーを投げ始めた意図について説明した。

 9月に入ってからも、5日の阪神二軍戦、0-1の3回一死三塁で立石正広に3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた8球目の130キロ外角スライダーが良かった。

 9月以降の登板での縦に落ちるスライダーに関して、「右と左で変化の仕方が違うのでそこを一定にどうにかしたいのはあります。手応えはあるので、右バッターに対してのスライダーで空振りを取れているところはあるので、左に対して同じような軌道で行けばもうちょっと空振りが取れるんだろうなと思うんですけど、少し左になると視覚の問題なのかわからないですが、投げ方が変わってきてバットに当たるファウルになる感じになる。そこをどうやって一定にさせていこうかなと思います」と明かした。

◆ 満を持して一軍先発

 10月5日の西武戦で、5月23日の楽天戦以来の一軍先発のチャンスが巡ってきた。初回からテンポの良くストライク先行の投球で、西武打線を打ち取っていく。0-0の3回二死二塁でカナリオを2ストライクから空振り三振に仕留めた外角139キロのスライダーはファームで練習してきたボールだ。

 「良かったです。カナリオもそうですし、渡部もそうだし良い反応だったなと思います」と振り返った。

 「丁寧にコースにはいっていたので良かったなと。何球か高くいったのもありましたけど、甘く入るのは少なかったので、確率で言えば良かったと思います」と、カウント球で投げていた左打者の外からのスライダーも素晴らしかった。

 西武打線が早いカウントから打ってくる中で、「あれも良かったですね。源田のショートゴロもそうですけど、良かったです」と、0-0の3回先頭の長谷川信哉を2ストライクから141キロのフォークで空振り三振に仕留めた。

 ストレート、シュートも150キロに迫るスピードが出ており、「良かったですよ。ファームの時もまっすぐはだいぶいい感じで投げられたので、力まずに久しぶりの一軍で力まずに投げられたのは良かったのかなと思います」と好感触。

 西武打線を7回・69球、2被安打、3奪三振、2与四球、1失点と、まだまだできるところを首脳陣、マリーンズファンにしっかりとアピールした。

◆ ファームの期間のモチベーション

 5月23日の楽天戦後はファームで過ごしていたとはいえ、その前の5月14日の日本ハム戦では9回途中まで投げ、5月6日のオリックス戦も6回2失点でクオリティスタート(6回3自責点以内)を達成している。気持ちの浮き沈みはなかったのだろうかーー。

 「結構浮き沈みもありました。自分自身怪我もあったので。やるしかないので、唐川さんとか、角さんとかそういう姿を見てやらないといけないなと思うし、2人ともまだまだやれると言ってくれるので、そういう人の期待にも応えていきたいと思います」

 ファームでの試合前練習を見ても、しっかりと若手投手の壁になるべく、行動で示しているように見えた。

 「どうなんですかね。示そうと思ってやっているわけじゃないけど、変な姿を見せないようにと思ってずっとやっています。そういう意味ではしっかり取り組めているのかなと思います」

 この秋、長く一緒にプレーしてきた3学年先輩の角中勝也、1学年先輩の唐川侑己が現役を引退。西野と同学年の“90年世代”の日本ハム・中島卓也、阪神・西勇輝なども、今季限りでユニホームを脱いでいる。

 24年9月20の取材で、“90年世代”の最後までプレーしたい思いが同時点であるか訊くと、「ないです(笑)」と話していた。あれから2年が経ち、同じ質問をぶつけると、「やれるだけやっぱりやりたいですね」とキッパリ。

 「自分が納得するまでというか、投げられなくなって自分が判断できるまでは続けたいと思います。周りの期待もあるし、それに応えられるようにしたいと。年齢は確かに上かもしれないですけど、そんなに悲観していないというか、たかが数字だと思うので、自分が通用すると思っている間は続けていきたいと思います」

 世代交代の波が押し寄せている中で、最後の最後に結果で示した西野勇士。来季は競争に勝ち、一軍のマウンドで投げる姿を多く見たい。

取材・文=岩下雄太

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