オリックス・平野佳寿が明かした決断の過程 「球威やスピードで勝てない」40代、覚悟を決めて新球にも挑戦「スッキリとした気持ち」…引退手記(上)

スポーツ報知

25日のソフトバンク戦の9回無死、中村晃を三振に仕留めナインと握手する平野佳寿(中)(カメラ・朝田 秀司)

 今季限りで現役引退するオリックス・平野佳寿投手(42)が、25日のソフトバンク戦(京セラドーム大阪)で引退セレモニーを行い、スポーツ報知に手記を寄せた。鳥羽高から京産大を経て、2005年の大学・社会人ドラフト希望枠で入団。オリックスで18年、大リーグでも3年間プレーした。オリックスの選手として初めて名球会入りを果たし、日米通算250セーブと200ホールドをクリア(258セーブ、205ホールド)したのは史上初の偉業。唯一無二の歩みや愛称「ピッペン」の秘話など、誠実な言葉で「21年分の一所懸命」をつづった。

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■「兼任」での現役続行に感謝

 今はホッとしているというか、スッキリとした気持ちが一番です。特にここ3年は見合うような成績、結果を出すことができませんでした。年齢を考えても、現役を続けることは良くないだろう…と。去年、現役を辞めていてもおかしくありませんでした。半分あきらめていたところで、球団の方からありがたいお話をいただきました。投手コーチ兼任でした。本当に感謝しかありません。

 1軍で優勝したい。今年一年、その思いが原動力となりました。春先は1軍でやらせていただきました。このまま最後まで1軍で…という思いもありました。でも、そんなに簡単な世界ではありません。2試合に登板し、4月中旬からファームに行きました。調整する過程で、右太もも裏を肉離れしました。投手として初めて経験するけがでした。少しずつ気持ちに変化が生まれ、7月末に引退することを決断をしました。

 衰えがくることに怖さはありませんでした。代、代であれば話は別です。負けていられない、悔しいとなったはずです。代に入る中で、球威やスピードでは勝てないと思いました。何とかしてでも勝負できるようにと、気持ちを切り替えました。自分を違う方向に変えていかなければいけない、と。それが投球術でした。カットボールやツーシームを練習しました。

 僕は真っすぐとフォークで抑えるスタイルで戦ってきました。悪あがきだと分かっていました。自分を変えていく過程を楽しむ余裕なんて、ありませんでした。実は若い頃、こんな風に言ったことがありました。「真っすぐがダメだと思った時には、ツーシームを投げる」と。その時が来たなと感じ、後がないという覚悟を持ちました。今のままでは打者を抑えられないと思ったので。だから、悔しいという感覚はありませんでした。

■鳥羽高校での経験が「一番」

 自分自身のキャリアを振り返れば、鳥羽高校に入れたことが一番だと思います。卯瀧(うだき)逸夫先生に、野球のイロハを教わりました。投球、打撃、守備。すべてです。いかに技術を磨くか、という野球観をつくってもらいました。技術を磨くため、欠かさなかったのが投球練習でした。

 毎日、ブルペンで100球以上。週7で、休まずに投げ続けた記憶があります。~球でやめると、怒られました。「どうした? どこか痛いのか?」と。ブルペンを外れたのは、本当にけがをした時だけでした。当時は理解できなかったですが、年齢を重ねると分かってきました。高校の3年間が僕に合っていたんだと。間違いなく今の土台、基礎ができましたから。鳥羽高校に入っていなければ、僕の野球人生が終わっていた可能性もあります。

 京産大で勝村法彦先生に大きく育ててもらい、オリックスの酒井勉スカウトが熱心に僕を見てくれました。吉井理人さんが名付け親とされている「ピッペン」のニックネームですが、実は違います(笑)。高校、大学の先輩にある時「(NBA選手の)ピッペンに似てるな」と言われ、横で聞いていたのが光原逸裕さん。大学の先輩です。僕より1年早くオリックスに入団していた光原さんが、新人だった僕をみんなの前で「ピッペン」と呼んだのが始まりです。それを吉井さんも聞いていて「あ、ピッペンやな」と。そこから一気に広まったという流れです(笑)。

 ◆平野 佳寿(ひらの・よしひさ)1984年3月8日、京都・宇治市生まれ。42歳。京都・鳥羽から京産大を経て、05年大学・社会人ドラフト希望枠でオリックス入団。11年に49ホールドポイントで最優秀中継ぎ、14年に40セーブで最多セーブのタイトル獲得。17年オフに海外FA権を行使。Dバックス、マリナーズを経て、21年にオリックス復帰。23年に日米通算250セーブを達成し、名球会入り。日米通算853試合で65勝87敗258セーブ、205ホールド、防御率3・05。座右の銘は「一所懸命」。186センチ、90キロ。右投右打。

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