ロッテの髙部瑛斗は試行錯誤しながらも、9月25日に再昇格してから3試合に出場して、打率.545(11-6)とバットでアピールしている。
『7番・センター』で先発出場した27日の日本ハム戦、1-0の2回無死走者なしの第1打席、有原航平が投じた初球のカーブをライト前に弾き返すと、続く1-1の4回一死二塁の第2打席も有原が投じた初球のカットボールをセンター前に安打。初球から“積極的”に打ちに行く、“らしい”安打で2試合連続のマルチ安打を達成した。
4-1の8回一死一、二塁の第4打席、松岡洸希が3ボール2ストライクから投じた10球目の148キロストレートを左中間に破る2点適時二塁打で、3月28日の西武戦以来となる今季2度目の猛打賞を達成した。
◆ 試行錯誤
昨季限り退団した荻野貴司が背負っていた“0”を継承した今季、首位打者、最多安打のタイトルを目標に掲げ、年末年始も休まず自身と向き合いトレーニングに励み、都城春季キャンプでも「疲労はありますけど、疲労してもいい時期なので、怪我をしないように。適度にちゃんと追い込みたいなと思います」と、ハードな練習を積んだ。
オープン戦では打率.305をマークしたが、「そんなに良くないんですけど、その中でもなんとかできるように、タイミング、形、考え方を工夫してやろうとしています。感覚が良いわけじゃなくても、どれだけ自分ができるのか色々考えてやっています」と髙部自身は満足していなかった。
3月27日の西武との開幕戦、『1番・センター』でタメン出場を果たし、第2打席に今季初安打、翌日には猛打賞を達成好スタートを切ったが、翌日からなかなか安打が出ず。昼間の二軍戦にも出場するなどしていたが、4月17日に一軍登録を抹消。5月4日に再昇格を果たすと、同日のオリックス戦で2安打、5月8日のソフトバンク戦から5月15日のオリックス戦にかけて7試合連続安打。この時期も「安打が出ているといっても内容は良くないですし、どうやってやったら良い方向に入っていくのか、まだ定まっていない。良い形、ノリに乗った時というのは、絶対に誰しも良くなると思うので、その波にどうやって乗れるかかなと思います」と5月17日の試合前練習後に語っている。
強く振ることを意識した昨季8月以降の打率は.337をマークしたが、都城春季キャンプでは「今年は強くというよりは、バランスよくですね。体全体の割合が強くという感じです」と話していた。5月17日の取材で、春季キャンプの時と変わらず同じ意識で打っているのか訊くと、「詳しくはあまり言えませんが、真逆のことをやっています。(幹となる部分を)変えてるっすね。イメージは変えています」と告白。安打を放つため、トライアンドエラーをしてきたが、6月11日に今季2度目の一軍登録を抹消。
ファーム降格後、6月13日と14日の日本ハム二軍戦で2試合連続猛打賞を放つなど、6月はファームで打率.429(35-15)と打ちまくった。ただ本人は「たまたま打てているだけだった」と振り返る。7月10日のハヤテ戦ではスクエアスタンスの打撃フォームで打っていたが、同日の第4打席に死球を受けて負傷交代。
故障で離脱している期間はファームで、「全部自分のことを疑って、今までやってきたことを良くないと思って、全部頭の中から変えたりしました。動きの中から変えるんですけど、それでも癖であったり、自分の動きはすぐ大きく変わるものではないので、ギャップの埋め合わせと福浦さんとどうやったら自分の長所を伸ばせていけるかというのを考えながらいっぱい話してくれました。堀さん、細谷さんもそうですけど、やっていきました」と、自分自身を見つめ直した。
8月25日のDeNA二軍戦で復帰したが、復帰後の打撃について「全然よくないですけど、自分の今できることを理解してやれば、少しは勝負できると思うので、自分のできることをどれだけ良い方向に持っていけるかという作業をやっています」と説明。
9月17日の楽天二軍戦、4-2の5回無死走者なしの第3打席、渡辺翔太が2ボール1ストライクから投じたカットボールをライトフェンス直撃の二塁打や昇格してからも9月26日の西武戦、2-1の8回二死一、二塁の第4打席、豆田泰志が1ボールから投じた2球目の149キロストレートを左中間に弾き返す2点適時三塁打は素晴らしかった。
「結果論なので、そこは。あんまり考えていないですけど、続けられることが一番のいいことだと思うので、1個1個を見ずに続けていきたいですね」
5月17日の取材でバランスよく打つことと真逆のことをやっていると話していたが、「今は逆にバランスを意識しているので、バランスよく自分の振りたいように振れるにはどうしたらいいかなというのを考えながらやっています」とのことだ。
残りは9試合――。「僕はアピールする立場なので、その立場をしっかり考えて、しっかり戦力として見てもらえるようにやらなきゃいけない思いです」。開幕前はレギュラーとして活躍が期待された男。来季に繋がる何かを掴み、良い形でシーズンを終えたい。
取材・文=岩下雄太