【ソフトバンク】前田悠伍が「独占手記」で語る開幕12連勝の裏側…昨オフからの苦悩、チームへの思い、将来的なメジャーへの夢

スポーツ報知

サイン色紙を持ってガッツポーズする前田悠伍(カメラ・鬼束 羽瑠菜)

◆パ・リーグ オリックス1―7ソフトバンク(17日・京セラドーム大阪)

 パ・リーグ3連覇の原動力となったソフトバンク・前田悠伍投手(21)が、スポーツ報知に独占手記を寄せた。大阪桐蔭から23年のドラフト1位で入団し、プロ3年目の今季は能力が一気に開花。開幕から無傷の12連勝を飾り、パMVPや新人王、最多勝、最高勝率のタイトルも射程にとらえている。この日は19日の楽天戦(楽天モバイル)に備えて仙台入りし、胴上げ、ビールかけには立ち会えなかったが、飛躍的にエース候補にまで成長した左腕が、昨年オフからの苦労やチームへの思い、将来的なメジャーへのあこがれなどをつづった。

 ファンのみなさん、応援ありがとうございました。開幕12連勝なんて、あれほど悩んだ宮崎キャンプを思えば、本当に考えられません。3連覇に貢献することができて、うれしい気持ちでいっぱいです。

 昨年9月に左肘の手術を受けました。『今年は絶対にやってやるぞ』と、今までで一番強く思っていました。背番号41の先輩、メッツの千賀さんとも自主トレをさせていただき、春季キャンプも1軍でスタートしました。でも、状態が上がりませんでした。考えれば考えるほど、投球フォームも分からなくなっていきました。何をするにもうまくいかず、長いトンネルをずっと抜け出せない感覚でした。精神的にもしんどくて、野球人生で経験したことのないドツボにハマりました。

 キャンプ序盤から左肘に違和感がありました。毎日チャーさん(上茶谷大河)の部屋にお邪魔しました。電気治療器を借り、そこで話を聞いてもらいました。YouTubeを見ながら、会話中にひらめくと、その場でシャドーピッチングを始めたこともあります。僕にとってすごく、大切な時間でした。毎日1、2時間ぐらい部屋にいたので、チャーさんは迷惑だったかもしれないですけど…(笑)。

 開幕1軍に入ることができませんでした。4月になっても、肘の痛みが引きませんでした。地元の滋賀のトレーナーさんに『助けてください』と連絡しました。もちろん、ホークスのトレーナーさんも信頼しています。でもその時は、小学生の頃から僕の体を知る方に診てもらいたかったです。治療を受けてみると、日を追うごとに良くなって、不思議なことに平均球速も上がっていきました。その後、1軍に呼ばれました。絶対にいける、と自信を持つことができました。

 シーズン中で一番の転機となったのは、6月6日のDeNA戦です。2回に松尾汐恩さんと初めて対戦しました。ビジターの横浜スタジアムで、相手は大阪桐蔭でバッテリーを組ませていただいた、1学年先輩です。大阪桐蔭の看板を背負っている意識は常にありますし、下手なプレーで看板に泥を塗るわけにもいけません。対戦できたことが純粋にうれしかったです。当時のテンポとスライダーの感覚を取り戻し、最後まで続けることができました。

 小久保監督からの言葉で強く印象に残っているのは「ミスター5回」です。「絶対に次こそは6回以上を投げる」と自分に言い聞かせながら、初登板から6月6日のDeNA戦まで5試合連続で5回以内で降板していました。交代する時は必ず、最後のイニングを投げ終わった後に、小久保監督とグータッチします。初めて7回まで投げられたのが6月13日のヤクルト戦(注1)です。みずほペイペイドームのベンチで5回が終わった時、実は横目で小久保監督の動きを確認していました。「よし、来ないぞ」と…(笑)。

 長いイニングを投げるのも課題の一つで、壁を乗り越えるため、高校1年から書き始めた野球ノートは今も書き続けています。シーズン中も頭が整理できているのは、この習慣によるところが大きいと思います。1日で1ページが少し余るくらいの分量でしたが、今は気づいたら1ページを超えます。今年の経験があって、勝手に意識が変わったのかもしれません。

 3年目に1軍で投げ続ける。出遅れましたが、描いていたラインにある程度は乗れたかなと思います。でも、1年だけなら誰でもできます。将来、メジャーで勝負したいという夢もあります。そのためには、この成績を何年も続けなければいけません。千賀さんは7年連続で2ケタ勝利を挙げています。千賀さんの記録を超えることを一つの目標として、圧倒的な成績を残せる投手になっていきます。(前田 悠伍)

【注1】6月13日のヤクルト戦で初めて「ミスター5回」を返上し、7回を1失点で4勝目。そこから5試合連続で7回を投げた。5回を持たず降板したのも2試合だけ。

 ◆前田 悠伍(まえだ・ゆうご)2005年8月4日、滋賀・長浜市生まれ。21歳。大阪桐蔭では1年秋からエース格で甲子園に3度出場し、2年春優勝、夏8強、3年春4強。高校日本代表にも選出され「U18W杯」優勝を経験。23年のドラフト1位でソフトバンク入団。24年10月1日のオリックス戦(みずほペイペイ)でプロデビューし、25年7月13日の楽天戦(楽天モバイル)で初勝利。プロ通算21試合の登板、13勝1敗。防御率は2・53。180センチ、86キロ。左投左打。年俸1100万円(推定)。

記事提供:スポーツ報知(別ウィンドウで開く)

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