
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
心温まる「恩返し」を見た。第97回都市対抗野球大会が8月26日に開幕。4年連続16度目の出場となった三菱重工Eastに、プレゼントが届いた。「B50」の文字とともに、一人ずつの背番号が刺しゅうされた選手・スタッフ全員分の今治タオル。贈り主は、同部OBのオリックス・山中稜真捕手(25)だった。
24年に中軸として初優勝に貢献し、同年のドラフト4位指名につなげた左の好打者。「経験した身からすると、予選を勝ち抜くことがどれだけ大変かが分かるので」。激戦区の西関東予選を突破した古巣のために、できることはないかと動いた。最初は花を贈ることも考えたが「枯れてしまう(笑)」と却下。「せっかくなら何か使えて、形に残るものがいい。その方が、当時の自分がもらったとしても、うれしかっただろうし」と、試合でも役立つアイテムを選んだ。
「社会人野球は一球に対する思い、重みがある。本当にいい経験だった」と根底にあったのは感謝。後日、同部マネジャーから、ナインによる「ありがとう!」との動画が送られた。お礼の電話をくれた元オリックスの武田健吾外野手(32)は、8月27日の1回戦・日本製鉄瀬戸内戦で2発5打点と大暴れ。山中は「やっぱりうれしいですよね。そういう行動をして良かった」と、コールド発進した古巣から逆に勇気をもらった。
自身も、2年目の今季はシュアな打撃で台頭。だが、8月は24試合で打率1割6分と苦しんだ。「都市対抗からも刺激をもらい、もう一回いい結果を出したい」。三菱重工Eastでの2年間で得たのは、目の前の勝負に対する集中力。壁を乗り越え、バットでも熱い「恩返し」を届ける。(オリックス担当・南部 俊太)
◆南部 俊太(なんぶ・しゅんた) 24年入社。25年から現担当。