【舞洲Heroes】2年ぶり支配下復帰の宜保翔。「早く1軍で“執念ポーズ”をやりたい」

ベースボールキング

2年ぶりに支配下復帰を果たしたオリックス・宜保翔(写真=北野正樹)
2年ぶりに支配下復帰を果たしたオリックス・宜保翔(写真=北野正樹)

 「リハビリを支えてくださったトレーナーのみなさんや、応援してくださったファンの方々に感謝しかありません。早く1軍で“執念ポーズ”をしてみたいですね」。2年ぶりに支配下復帰を果たした2日後、オリックスの宜保翔選手が大阪・舞洲の球団施設で声を弾ませた。

 宜保は沖縄県豊見城市出身。未来沖縄高から2018年ドラフト5位で入団した走攻守3拍子そろった内野手で、二塁手として一、二塁間を抜ける打球を捕球してアウトにするなど、華麗な守備で「猛牛忍者」の異名を取ったこともあった。
 しかし、2024年3月に「右肩関節前方インピンジメント症候群」と診断された以降に出場機会が減り、オフに育成契約に。25年は、ウエスタン・リーグで7月末までに40試合に出場し94打数27安打、13打点、打率.287と数字を残したが、支配下再登録はかなわなかった。肩の状態は上向いていたが、深い位置からの送球や外野からのカットプレーなどに不安があったのが理由だった。

 “執念ポーズ”は、24年5月に誕生した。交流戦の広島戦(マツダスタジアム)の初戦を終えた夜、1歳上の渡部遼人、同期の太田椋、1年後輩の紅林弘太郎の4人で食事に出かけた際、誰からともなく「俺たちはまだ、優勝を諦めてはいない。4人で結束しよう」と声が上がったのがきっかけ。合言葉は「執念!」、サインは人差し指を立て片足を上げるポーズに決まった。現在は、宜保に代わり麦谷祐介選手が、ムードメーカーとして受け継いでいる。

 徐々に肩は回復し、今季は4月30日までに23試合に出場、8試合連続安打を放つなど打率.289。遊撃の守備にも就いて復活をアピールし、4月30日に支配下再登録を果たすことができた。

 苦節2年。一番苦しかった時期は、24年9月から10月だったという。7月末に戦列復帰したものの、9月中旬には肩がいうことを聞いてくれなかった。「10mを投げるのも精一杯で、寝ていても歩いても痛みがくる状態。このままでは戦力外になってしまう、と追い詰められました」と明かす。結局、10月3日に戦力外通告を受け、育成選手契約を打診されてしまった。けがが回復するめどが立っている状態なら前を向けるが、先が見通せない中での「戦力外通告」と「育成契約打診」。

そんな苦しさを沖縄の先輩で当時現役だった比嘉幹貴・1軍投手コーチの言葉が吹き飛ばしてくれた。「大丈夫。あなたならできるよ」。沖縄訛りの優しい口調は「沖縄にいるおじいちゃん、おばあちゃんを思い出して落ちつけました」と宜保は振り返る。

 2度目のピンチは支配下が見送られた25年7月末。打撃の数字は残したが、遊撃手として外野から本塁への中継プレーができなかった。ここで宜保は、治療に専念する道を選んだ。「その判断が一番良かったと思います。薄々、上(1軍)で通用しないだろうと思っていたんです。今年、支配下になれなかったら、もう治療に専念しようと」。福良淳一GMら球団首脳陣も、宜保の考えを尊重してくれた。

ダメなら2度目の戦力外通告が待っているかもしれないが、“勝算”もあった。肩が治るという自信。「リハビリをしてダメだったら、まあしゃあない、と思いましたが、これで治るなという自信があったんです。現役は続行できるなって」

 外野にも挑戦した。大きく肩を使って送球する外野手の方が、リハビリに向いていることが理由だったが、「外野に挑戦することで、例え選手生命が短くなってしまっても構わないと思っています」と出場機会を求めて貪欲に取り組んだ。

 背番号「53」から、育成選手になって「153」に変わった。「何も変わりませんよ」という宜保だが、サインを求められ「現役時代の背番号を書いて」と頼まれた際には、少しばかりショックを受けたという。3桁の背番号は、現役を引退して練習を手伝うアシスタントスタッフの人たちと勘違いしたらしい。

 苦しい時に支えてくれたのは、沖縄の人たちだった。帰省すると「レアだから153番のグッズを買ったよ」と声を掛けてくれた。支配下に復帰することを信じて応援をしてくれる故郷の人たちの心に、応えたい思いが募った。「育成のままで終わったらレアにならなかったから、支配下に戻れてよかった」と笑顔を見せる。

 肩が快方に向かった昨年オフ、本格的なウエートトレーニングを取り入れた。70kgまで減った体重も79kgまで増量し、筋肉量は5kgも増えた。トレーニングの成果でスイングスピードは増し、打球速度は175kmまでアップした。今春のキャンプでは「長打が出るように後ろからしっかりと振ってかませて打ったらどうなるかを試しています」と試みていた新たな打撃は継続中。「今もヒットは出ているんですが、持っているもので勝負しているという感じです。ちゃんと振りにいく打席と、これまで通りコンタクトしにいく打席を分けているのですが、新しい部分を見つけたいと思ってやっています」という。

 「楽しいのが一番だと思うんです。あそこに戻ったら(観客席が)わーっとなって楽しいでしょうね。楽しみです。ワクワクします」。いつ呼ばれてもいい準備はできている。

取材・文=北野正樹

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