
今季、56勝84敗3分で最下位に終わったロッテはサブロー新監督を迎え、初の秋季都城キャンプを行っている。「昭和のキャンプ」を掲げて連日、日が暮れるまで練習。指揮官と13年から4年間、ともにプレーした元ロッテ、中日の加藤翔平記者が、ただの“地獄”ではない、サブロー流の練習法とその狙いを「見た」―。
練習を終えた野手の手は、連日の振り込みで赤く染まり、帰りのバスに乗り込む足取りも重い。それでも表情には充実感が漂っていた。
就任初のキャンプ。はっきりとサブローカラーが打ち出されていた。通常のキャンプと異なる点は主に2つ。
〈1〉練習開始時間
通常、キャンプの朝は早く早出は午前8時、全体練習同9時がスタンダード。それが早出は同9時45分、全体練習は投手が同10時、野手は同11時と遅く、午後6時頃まで続く。そして練習開始前には2日に1回のウェートトレーニングが義務付けられ、体を追い込んでいる。トレーニングコーチの1人は「体が元気な状態で回数もできるのでいい。練習後のクタクタな状態だとなかなか追い込むのは難しい」と効果を期待する。栄養士も帯同し補食も充実。開始が遅い分、睡眠時間を確保できるため、疲労回復とけが予防にもつながる。
〈2〉ランニング
いわゆる走るだけのメニューは投手には課されているが、野手はほぼない。代わりに、フリー打撃中の走塁練習を打球判断やベースターンを意識しながら、1人10周以上行っている。22年盗塁王の高部は「普通に走るよりも、体への負荷が大きくてきつい」と話した。練習前のウェートトレーニングにより、体の張りもある中で実戦的な練習+強化と、効率的に行われている。
打撃練習でとにかく振る量を確保。バントやエンドランなどのチーム打撃も組み込まれ、サインプレーの確認にも余念がない。第1クールに行っていた連続ティーは、第2クールから10球×10セットのフルスイングティーと約120球のハーフ打撃に変更され、抜いたスイングは許されない。福浦2軍監督が一球一球、下半身の力の入り具合を確認する場面もあった。
選手が口にしたのは「サブさん(サブロー監督)の指導に応えたい」という言葉。私も現役時代、何度も声をかけてもらい尊敬していた。ロッテ時代の14年、打撃で悩んでいた私はZOZO(当時QVC)浴室の脱衣所で「そこで打つ格好してみい」と声をかけられた。指導は1時間に及び、親身に話を聞いてくれた。お互いタオル1枚の状態で時刻は午前0時過ぎ。翌日の試合で3安打すると「裸で頑張ったかいがあったやんけ。神様は見てるなあ」と笑ってくれた。引退を決め、電話で報告した際には「12年よう頑張ったな。ほんまお疲れさん」と言われ、自然と涙があふれた。厳しい雰囲気と言葉の中に、温かみがある。選手もそれをわかっているはずだ。
選手の体調管理も兼ねた「昭和×令和」のハイブリッドキャンプだが、成果が来年すぐに出るとは限らない。それでも個々の頑張りは必ず生きてくる。近い将来、都城で汗を流した若手が中心となり、サブロー監督が胴上げされる姿を見てみたい。
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