ロッテ・上田希由翔、プロ1年目は「見ての通り、結果が出ず…」来季は「1年間戦い抜くことが大事」

ベースボールキング

  • ニュース

2024.11.21(木) 08:36

打撃練習中のロッテ・上田希由翔[撮影=岩下雄太]※撮影日24年11月4日

 「見ての通り、結果が出ず試合も出れずという感じだったので、あんまり考えることもないという感じですね」。

 ロッテの上田希由翔はプロ1年目のシーズンをこう振り返った。

 上田は対外試合初スタメンとなった2月14日の韓国・サムスンとの練習試合、1-0の3回無死二、三塁の第2打席、左のイジェイクが投じた132キロの初球の変化球をライト前に弾き返す2点適時打を放ち、対外試合初安打・初打点をマークするなど、2安打を含む3安打5打点の大暴れ。翌15日のヤクルトとの練習試合でも、1-5の7回二死一、二塁の第3打席、沼田翔平が3ボール0ストライクから投じた4球目のストレートをセンター前に弾き返す適時打。2月24日の韓国ロッテとの練習試合でも3安打2打点と、練習試合期間の打撃成績は.324(34-11)、9打点とアピールに成功した。

 オープン戦が始まってからも初出場となった3月5日のDeNA戦の第2打席にオープン戦初安打となる内野安打、翌日も守備から途中出場し1打席目にセンター前安打し、オープン戦の打率は.250。開幕はファームスタートも、開幕2カード目となった4月2日にプロ初昇格を果たし、翌3日のソフトバンク戦に『6番・一塁』でプロ初出場。

 4月4日のソフトバンク戦で1-6の2回一死走者なしの第1打席、先発・大津亮介が2ボール2ストライクから投じた5球目のアウトコースのストレートを打ち二塁への内野安打でプロ初安打をマークすると、4月12日の楽天戦、1-3の7回一死満塁の場面に代打で登場し、藤平尚真が1ボール2ストライクから投じた151キロのストレートを左犠飛でプロ初打点。一軍では10試合に出場して、打率.217(23-5)、3打点だったが、4月25日に一軍登録を抹消された。

◆ 抹消後は自分と向きあう

 「一軍だったらなかなか自分のスイングができていなかったので、打席で自分のスイングをできるように心がけてやっています」と、一軍登録抹消後は、“自分のスイング”を心がけて、ファームで鍛錬を積んだ。

 具体的に“自分のスイング”とはどういったところなのだろうかーー。

 「まずしっかりボールにもコンタクトできていなかったですし、捉えたヒットがなかなかなかったので、そういうところですね」。

 一軍と二軍の投手の違いには「そこはあまりギャップはなくて、自分次第だなと思っています」と、自分のスイングができるかどうかだと感じたようだ。

 では、一軍の投手に対応するために必要なことはどう感じたのだろうかーー。

 「常に同じタイミングで真っ直ぐでも変化球でも打ちに行くことが大切だなと思うので、変化球だから、真っ直ぐだからとか気にせず、常に自分のタイミングで打ちに行くことを気をつけてやって行けたらいいなという感じですかね」。

 それを踏まえて、次回一軍で上がった時には「同じ失敗を繰り返さないようにしたいと思いますし、まだまだバッティング、守備、走塁でもなかなかチームとしてやっているレベルまで達成できていない。そこはしっかりクリアしてまた成長した姿でいければいいなと思います」と口にした。

 同じ失敗を繰り返さないために、試合後には、試合での打撃内容や相手投手について振り返った。そこでは、「その日によって感覚が違ったりするんですけど、その感覚とかをノートに書いて次の対戦の時に同じことを繰り返さないようにまとめたりはしていますね」と反省と復習を行った。

 上田は一軍登録抹消されてから、ファームで.306(134-41)、1本塁打、23打点と結果を残し、6月14日に再昇格を果たした。


◆ 再昇格後、打率.286

 再昇格後初出場となった6月14日の中日戦で、プロ入り後初となるマルチ安打を達成すると、6月16日の中日戦では「柳さん(明治大)は先輩なので、試合前は意識もありましたが、打席に入るときはチャンスで回って来るなとイメージが出来ていたので、ランナーを返すバッティングを心がけていく事が出来ました」と明治大の先輩・柳裕也から適時打を含む2安打。

 6月28日のオリックス戦から4試合連続で安打を放ち、6月14日からの打撃成績は11試合に出場し打率.286、4打点とプロの投手に段々と慣れてきた中で、7月2日の日本ハム戦で足を痛め負傷交代。翌3日に一軍登録を抹消となり、その後一度も昇格することなくシーズンを終えた。

 再昇格後の打撃を見ると、しっかりと一軍投手に対応しているように見えた。シーズンを終えて、上田自身の中ではその当時どう感じていたのだろうかーー。

 「普通にやるべきことをやっていただけなので、良い形では出てたとは思うんですけど、結果も出ていなかったので、ああやって一発で終わらずに継続して結果を残すことが大事かなと思いますね」。

 5月にファームで取材した時には“自分のタイミングを気を付けてやっています”と話していたが、「出せたからいい形で打てたと思う」と振り返った。

 それだけに、上田にとってもチームにとっても痛い故障となった。「あんまり怪我するタイプじゃないなと思いつつも、たくさん試合をしていた中でダメージはあったなと思うので、防げた怪我だった。予防せずに取り組んでしまった自分に後悔していたなという感じですね」と反省した。


◆ 8月に実戦復帰

 8月6日の西武二軍戦で実戦復帰してからの打撃については「自分の中で早く一軍に上がりたいと焦っていた部分があったんですけど、8月はなかなか思うような結果が出ずに9月、しっかり見直してやったらいい形ではできていたと思うので、何事も焦ってはダメだなと思いました」と、焦ったと話した8月はファームの月間打率.234だったが、9月のファーム月間打率は.307としっかりと復調した。

 見ていると、投手によって打席の中でタイミングの取り方を変えている印象を受けた。

 「そうですね、全部同じタイミングで打てるとは思わないので。ピッチャーも打ち取りたいと思って投げてくると思うので、この人はこういうタイミングとかはないですけど、(打席の中で)気持ち悪いなと思ったらタイミングを変えていました」。

 また、左中間や右中間に打球が飛んでいる時には、状態が良い時に見えた。

 「引っ張りがしっかりできる。無理やりじゃなくてしっかりいい打球が引っ張りにいくというのが、いい状態かなと思いますし、8月9月とかは無理やり反対方向を意識してやっていたので、自分の得意、不得意がわかってきたかなと思うので、センター中心に飛んでいるときは良い形かなと思います」。

 ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、「チームとして取り組んでいるインコースの反対方向というのはやっていますけど、継続して意識しつつ、引っ張れるのはいつでも引っ張れると思うので、そこをもうちょっと極めてやっていきたい。守備も走塁も含めて全体的にレベルを上げられたらいいかなと思います」と、攻走守のレベルアップを目指し取り組んだ。

 プロ1年目を終え、来季はプロ2年目を迎える。「1年間戦い抜くことが大事だと思いますし、結果が出る出ない関係なく、一軍ずっといるというのは普通ではできないと思います。見習うことが多い選手が多いので、そういう部分は吸収していいシーズンというとざっくりしていますけど、迎えられたらいいなと思います」。飛躍の2年目にして見せる。

取材・文=岩下雄太

記事提供:

ベースボールキング