【オリックス】T―岡田涙の引退試合で今季初安打「19年間は本当に充実していて僕にとって最高の時間でした」

スポーツ報知

  • ニュース

2024.9.25(水) 05:00

オリックスナインの手で胴上げされるTー岡田(カメラ・馬場 秀則)

◆パ・リーグ オリックス2ー9西武(24日・京セラドーム大阪)

 オリックスのT―岡田外野手(36)が19年間の現役生活に幕を下ろした。同じ88年生まれの安達了一内野手(36)と最終試合に臨み、5回2死一、三塁の代打から出場。低迷期から昨年までの3連覇と苦楽を知る大砲が、通算1363試合の足跡を残した。

 奥歯に力を入れても、涙を止められなかった。「どんなときでも味方でいてくれて…」。試合後の引退セレモニーで向けた家族、彩夫人への感謝。手紙を読むT―岡田は感情を制御できなかった。7回2死で右前へ1193本目の今季初安打。直前に弟分・杉本が惜別の左越え2ランを放ってくれた。8回には安達と遊ゴロも完成させ、9回は最後の打者に。右翼ポール際への大飛球には「しっかりファウルでした…」と苦笑いし、空振り三振で長い旅を終着した。

 昨年は戦力構想外の危機にあった。ある夏の日、福良GMと向き合った。「もう一年、やらせてもらえるならやりたいです」。監督としても成長を下支えしてくれた恩師の一人。覚悟を決め、最初で最後のわがままを許してもらった。

 近年は代打が中心。球場の空気を変えられる存在だった。「初球は打つなよ。応援、聞きたいから」。きれいなトランペットで始まるチャンステーマ。冗談か本気か、中嶋監督も打席を楽しみにする一人だった。

 エースになった宮城は、2月のキャンプでスニーカーを捨てた。「この靴は終わりにしようか。周りの人からも見られる仕事やで」。高校時代から履き続け、ボロボロになった一足。優しい口調で、あるべき姿を伝えたのも岡田先輩だった。

 10年に本塁打王。この日の本拠地最終戦で05年の実数発表後、最多の3万6217人を動員したように、204本のアーチに魅了されたファンは数知れない。「19年間は本当に充実していて、僕にとって最高の時間でした」。安達、小田とともにビジターでの残り6試合も1軍に同行。武骨で、すてきな物語に区切りをつけた。(長田 亨)

 安達(同じ88年生まれのT―岡田とともに現役ラスト試合で1安打)「Tがいなかったら、ここまで(現役を)できなかった。またTとオリックスを強くしたい」

 比嘉(今季限りで引退する41歳右腕は、中嶋監督のむちゃぶりで急きょスピーチ)「心残りは一つもありません。ぜひ来年、ビールかけに招待してください。引退セレモニーをしないと言ったくせに長々とすみません」

 小田(今季限りで引退するバイプレーヤーは、6回2死三塁で代走出場)「本当に10年間という長いようで短かった現役生活。幸せなプロ野球人生でした」

 〇…球団OBの吉田正尚(現Rソックス)と山本由伸(現ドジャース)が、引退セレモニーにサプライズでVTR出演した。吉田は「安達さんはディズニー好きのファンタジーな男かと思いきや、感情に熱い先輩」などとコメント。由伸も「Tさんの努力する姿をとても尊敬しています」と振り返った。京セラDでは元オリックス監督・森脇浩司氏らが観戦。特別始球式はT―岡田と安達の愛息が務め、それぞれ捕手役を担った。

関連ニュース

【オリックス】中嶋聡監督も好アシスト連発「しゃべらせなアカンでしょ…」ホームで4年ぶり負け越し
【オリックス】T―岡田、引退セレモニーで涙「19年間、長いようで短く…」スピーチ全文
【オリックス】山本由伸、吉田正尚がサプライズ 引退のT―岡田らにビデオメッセージ寄せる
【オリックス】ユニホーム脱ぐ小田裕也、比嘉幹貴が急きょ引退スピーチ 中嶋監督のむちゃぶり発動
【オリックス】中嶋監督、本拠地最終戦セレモニーで4連覇ならず謝罪「本当に申し訳ありません」

記事提供:

スポーツ報知