ソフトバンク先発3投手に好成績をもたらした「魔改造」 1軍投手コーチに復帰した倉野信次氏の指導のコツ

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2024.9.24(火) 05:30

倉野信次投手コーチ

◆パ・リーグ オリックス4―9ソフトバンク(23日・京セラドーム大阪)

 ソフトバンクは今季からOBの倉野信次氏(50)が「1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)」の肩書で復帰した。昨季まで2年間は大リーグ・レンジャーズ傘下のマイナー球団でコーチ修業。再び鷹のユニホームに袖を通すと、代名詞の「魔改造」で中継ぎだったモイネロと大津の先発転向を成功に導き、スチュワートにもキャリアハイの成績をもたらした。「魔改造」って何だ!?

 「魔改造」は本来、プラモデルなどの世界で、元の姿形を逸脱する改造を施すことを意味するネットスラングだ。倉野コーチの指導が「魔改造」と呼ばれ始めたのは2010年代。ファームで千賀(現メッツ)や武田らの球速を大幅にアップさせ、主軸投手に育て上げた手腕をたたえられた。

 今季の「魔改造」は先発3投手だ。セットアッパーだったモイネロは昨オフ、自ら「25年から先発転向したい」と提案し、1年前倒しで実現。有原と並ぶWエースの一角としてリーグトップの防御率1・94、同3位タイの11勝(5敗)の成績を残した。

 モイネロ「クラノサンの『中継ぎのような気持ちで投げたらいいじゃん』というアドバイスがためになったよ」

 大津もプロ1年目の昨季は勝ちパターンの中継ぎ。直球の軌道で直球より約30キロ遅い新球「真っチェ」を引っ提げ、先発転向。だが夏場、真っチェのブレーキが利かずに通用しなくなり、自身4連敗を喫した。8月15日から約1か月間、ファームで調整。その期間に魔球をよみがえらせる「魔改造」が施されていた。

 大津「倉野さんからの課題は『真っチェを戻す』。(悪い時は)空振りが欲しいから抜きすぎていたが『恐れず絶対に120キロ台を出す』というアドバイスのもと、しっかり腕を振るようになりました」

 スチュワートもキャリアハイの8勝(4敗)。最速160キロの24歳右腕が、プロ6年目で、ついに18年MLBドラフト1巡目の真価を発揮した。

 スチュワート「(パワーは桁外れだが)日本人投手と比べて柔軟性に劣るなどという僕の特性を、いい方向に持っていく。矯正したりしないんだ」

 倉野コーチは環境を「魔改造」することでも、潜在能力を引き出す。例えば今季から、投手陣の球場入りの時間を可能な限り遅らせたり、1軍でもファームでも、先発陣には必ず登板翌日にフィードバックの機会を設けたり…。

 倉野コーチ「コーチングの基本ってシンプルに、分かりやすく指導すること。『ここを改善できれば活躍できるよ』という見極めは得意だという自負があります。そして僕はほとんどメンタル面にしかアプローチしない。マインドセット(考え方)が変わればパフォーマンスが変わるんです」

 ◆倉野 信次(くらの・しんじ)1974年9月15日、三重・小俣町(現伊勢市)出身。50歳。宇治山田、青学大を経て96年ドラフト4位でダイエー入り。2007年限りで引退。通算成績は164試合19勝9敗1セーブ、防御率4.59。球団職員を経て、09年に2軍コーチ補佐に就任。1~3軍でコーチを務め、22、23年はレンジャーズ傘下でコーチ留学。24年に1軍投手コーチとして復帰。177センチ、85キロ。右投右打。

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