【オリックス】また新星 育成出身23歳左腕5回1安打無失点 初登板初先発プロ初勝利「すごいビックリ」 

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2024.6.10(月) 05:00

初勝利を挙げウイニングボールを手に笑顔を見せる佐藤一磨(カメラ・池内 雅彦)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人1-4オリックス(9日・東京ドーム)

 手に汗を握り、オリックス・佐藤一磨(23)は喜びの瞬間を待った。「すごいビックリしています」。プロ初登板初勝利が巨人戦。育成出身選手として史上初の快挙だ。先発に故障者が続き、8日に支配下登録。客席で見守った父・大磨(だいま)さん(52)ら家族に、勝利球を届けた。

 初回に2点の援護をもらったが、3、4回は先頭打者に四球。しかし「僕の中で珍しいことではない」と揺るがず、吉川を歩かせた4回は、厚沢投手コーチにも救われた。「打たれてない。どんどんゾーンに投げなさい」。一呼吸を置き、岡本和、坂本、長野を退けた。5回を1安打無失点。「監督、コーチ、本当にいろんなことで助けてもらって。ずっとキツかったというか…」とつぶやいた。

 エース左腕・宮城と同じ19年ドラフトで育成1位入団。当初はキャッチボールの制球にすら苦労し、周囲に「一磨、大丈夫か」と本気で心配された。投手として必要な体力を備えること。常に効率良く、強い球をゾーンに投げる動作を身につけること。中垣巡回ヘッドコーチを中心に、2本柱を太くしてもらった。

 同じ育成だった宇田川や東らが先に出世した。たくさん、悔し涙も流した。「うまくいかないんですけど…」。ある時、山本由伸(現ドジャース)に相談した。「練習したか? 自分で考えたか?」。答えはもらえなかった。成人式の記念にスーツを、今年1月には「頑張れよ」と色紙を贈ってくれた元エースの愛情。考えることも、成長につながると教わった。

 登板前には「(ツキを)ちょうだい」と、8日にプロ初勝利を挙げた斎藤に触れた。菅野に投げ勝ち、2日続けての新星誕生だ。2軍監督時代から見てきた中嶋監督も「一磨にい~っぱい、聞いてあげて」と左腕の門出を喜んだ。今季最長の5連勝で、この日はパの6球団で独り勝ちとなった。苦節5年目の晴れ舞台。亀のように歩むプロ野球人生に、明るい未来が見えた。(長田 亨)

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