毎月50枚のテレホンカードで支えてくれた母へ恩返し 交流戦絶好調ハムの23歳

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2024.6.3(月) 07:00

水谷瞬

◆日本生命セ・パ交流戦 日本ハム9―2DeNA(2日・エスコンF)

 日本ハムが初モノ尽くしでDeNAに大勝し、連敗を2で止めた。現役ドラフトでソフトバンクから加入した水谷瞬外野手(23)が“幻の1号”を経て、打ち直しでプロ初本塁打を記録。交流戦打率5割7分9厘の絶好調男が14安打9得点の打線をけん引した。

 * * * * *

 思いの分だけ、打球は伸びた。水谷が6年目でプロ1号。記念球は、初安打に続いて母・智美さんの住む愛知の実家に贈ると決めていた。野球留学で親元を離れた15歳から、プロ入り後の今も欠かさず連絡を取り合う仲で「感謝してもしきれない」。結果が出ない時も前向きな言葉で励まし続けてくれたのが母だった。

 部員約150人の大所帯だった石見智翠館では度重なる故障に苦しんだ。支えになったのが「テレホンカード」だった。当時は携帯電話が禁止で、数台の公衆電話だけが唯一の連絡手段。「時代的にもうテレカなんて売ってなくて、走り回ってかき集めてました。毎月50枚は実家から送って、もういくら使ったか分からないです」と智美さん。広島の病院まで駆けつけて背中を押してくれた時もあった。「プロの舞台で恩返しする」。心に誓った。

 ソフトバンクでは3軍落ちも味わった。苦しい5年間だった。6年越しに果たした“恩返し”に「初昇格、初打席、初安打、初ヒーローインタビュー、そして今日の初ホームラン。プロ野球人生6年目はジェットコースターみたいな日々だね」と母は目を赤くしながら笑った。「もっといい景色を見せてあげたい」と水谷。恩返しの旅は始まったばかりだ。

 ◆水谷瞬アラカルト

 ☆生まれ 2001年3月9日、愛知県。23歳

 ☆サイズ 193センチ、99キロ。足は31センチ

 ☆投打 右投右打

 ☆家族 ナイジェリア人の父と日本人の母。ニックネームはミドルネームから「ジェッシー」

 ☆球歴 石見智翠館(島根)では高校通算21発も甲子園出場なし。18年ドラフト5位でソフトバンク入団。5年間で1軍出場ゼロ。

 ☆相撲好き 相撲漫画「バチバチ」を読み大好きに。古巣在籍時は九州場所を生観戦

 ☆フルスイング 5月21日の昇格時に持ってきた12本のバットは折れ続けて残り4本に。「1本、1万6000円…。でも1軍で打てるなら何本でも(いい)」

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