◆日本生命セ・パ交流戦　阪神０―６日本ハム（３０日・甲子園）

　日本ハム・新庄剛志監督（５２）のタクトがさえわたり、甲子園での阪神戦で２連勝を飾った。打力を買って「６番」でサプライズ起用した山崎福也投手（３１）が打っては４回に先制の中前適時打、投げては７回無失点でリーグトップの６勝目と二刀流の大活躍。新庄政権初で最多の貯金「９」は１９年７月３１日以来、１７６５日ぶり。交流戦は勝率でロッテと並んで首位に立ち、優勝に向けて最高のスタートを切った。

　阪神時代に幾度となくスポットライトを浴びた甲子園で、新庄剛志が就任３年目の日本ハム監督として輝いた。２２年の聖地での交流戦は３連敗を喫したが、今年は２連勝。「福也君、投げて打ってアプリーシエイテッド（感謝）。気持ち良かったです！　うれしいですね」とメジャー仕込みの英語も交えながら、声を弾ませた。

　２戦続けて“秘策”を持ち込み、岡田監督と野球ファンの度肝を抜いた。２９日には背番６３と「新庄監督」と入れた阪神のユニホームを着用して試合前のメンバー表交換に臨んだ。その試合を８―２で快勝した勢いのまま迎えた一戦。スタメン発表時に、山崎の「６番・投手」がアナウンスされると、またしても甲子園がどよめいた。

　日本ハムの先発投手が８、９番以外でスタメン出場したのは１７年１０月４日のオリックス戦で４番を打った大谷以来、７年ぶり。６番は１６年５月２９日の楽天戦の大谷以来、８年ぶりだった。指揮官は「５か６で迷ったが６の方が打点をつけてくれそうな気がして。甲子園の雰囲気で楽しそうに野球をやっている福也君が何かやってくれそうで。次からは９」と説明。その眼力が正しかったことを、山崎も証明した。

　日大三３年センバツで大会最多１３安打を記録している強打者は、４回無死一、三塁の先制機で阪神・西勇から中前適時打。一塁へ走りながらガッツポーズを繰り出す会心の一打は交流戦４年連続の安打で、本社商品のシャウエッセンにかけて新庄監督が命名した“ビッグシャウ打線”に着火した。投げては緩急自在に７回３安打無失点で６勝目。「僕はやってやろうと思えるタイプ。新庄監督がそういう起用をしてくれて感謝しかないです」と頭を下げた。

　新庄監督は、岡田監督の言葉も励みにした。試合前のメンバー表交換で２９日の記念撮影のお礼を伝えると「お前、あんなパフォーマンスせんでも勝てるチームやろ」と褒められた。すぐさま「セ・リーグをコテンパンにやっつけておきますね！」と返すと「それ、ほんまに頼むで」。昨年の日本一監督からの評価で、自信を深めた。

　カード前に口にした「ぐっちゃぐちゃにしてやろうかな」を有言実行して、１９年７月３１日以来１７６５日ぶり、チームを率いてからは初の貯金９。パ首位のソフトバンクとは３差とし、交流戦で一気にたたみかける。（阿見　俊輔）

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