【日本ハム】「3軍」も経験した23歳がプロ初安打&初打点「泣きそうになりました」
スポーツ報知
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2024.4.12(金) 12:15
◆パ・リーグ ソフトバンク6―3日本ハム(11日・北九州)
日本ハム・水谷瞬外野手(23)が11日、ソフトバンク戦でプロ初出場を果たした。「6番・左翼」で先発し、3回の第2打席でプロ初安打となる一時同点の左前適時打をマーク。思い出の詰まった北九州での古巣戦で新たな一歩を踏み出した。
思いを込めて、振り抜いた。降りしきる雨を切り裂き、痛烈な打球が左翼線で弾む。メモリアルな一打に、水谷はグッと両拳を握った。6年目で飛び出した待望のプロ初安打は、試合を一時振り出しに戻す同点打。ベンチを飛び出した新庄監督が記念球を回収したのを見ると、思わず感情があふれた。
「泣きそうになりました。きょう、打ててよかった」
輝きを放ったのは2―3で迎えた3回1死満塁。ソフトバンク・大関の初球、低めに沈むフォークを捉えた。2回のプロ初打席は同じ球種にやられて空振り三振。「ゼキさん」と慕ってきた先輩左腕に次の打席でやり返した。「ソフトバンクからうちに来て、すごく思いはあると思う。そういうの、大事にしたいから」。新庄監督の粋な計らいで、9日から古巣とのカードでプロ初昇格。これ以上ない舞台で“恩返し”を果たし「九州で初安打を打てて、とてもうれしいです」と嚙みしめた。
ナイジェリア人の父を持つ193センチ、99キロの強打の外野手。右のロマン砲として石見智翠館から18年ドラフト5位で入団したが、分厚い選手層に阻まれて5年間で1軍出場はゼロ。昨年12月に現役ドラフトで移籍し、ファーム13試合で14安打、4本塁打と打ちまくって6年目で初の昇格を勝ち取った。この日の舞台は北九州市民球場。昨季、ソフトバンクの「3軍」メンバーとしてプレーしていた場所だ。悔しさ、ふがいなさ。当時の全ての感情がよみがえる中で「今となってはいい思い出。思い入れのある球場なので」と特別な思いで打席に立った。
試合前日の10日。休日を利用して向かったのは古巣の2軍本拠地・筑後だった。「5年、苦しかった」。バットを振り続けた原点の日々を思い返しながら、初めてスタンドから試合を見つめた。その時偶然、入団時に担当スカウトだった山崎賢一さんに会った。「頑張れよ」。「頑張ります」。短くも愛のこもったエールに心動かされた。何としても、恩返しがしたかった。
使用するグラブには今でも福岡県の市外局番「092」の刺しゅうを刻んでいる。「5年間、育てていただいた球団。九州で一本出せたことが、一番うれしいです」。始まった野球人生の第2章。「スタートラインっす」と笑顔で記念球を握りしめた。(堀内 啓太)
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