オリックス・宮城大弥投手（２２）が、２０２４年はスポーツ報知に独占コラム「一生百錬」（随時掲載）を寄せます。第１回は新春特別版。昨年まで独占コラム「球道夢想」を寄せたドジャース・山本由伸投手（２５）からバトンを受け、リーグ４連覇と日本一奪回を目指すシーズンが幕を開ける。昨年まで３年連続２ケタ勝利を挙げている左腕は、新エースの条件を自ら掲げ、社会貢献活動についてもつづった。

　スポーツ報知読者のみなさん、あけましておめでとうございます。２０２４年、コラムを担当させていただくことになりました。温かい目で見守ってください（笑い）。

　過去３年間で一番良かったと思うのが昨年です。勝てない時期【注１】があっても、うまく気持ちを切り替えられ、自分のやるべきことができました。少しは大人になった気がします。とはいえ、本当に悔しい最後でした。日本シリーズ【注２】は、今も忘れることができません。ノイジーさんへの１球、森下さんのレフト前、２ストライクから大山さんへの死球。「もっと冷静でいられたら…」という思いは消えません。うれし涙は流したことがないですが、今年は最後に笑って終わりたいです。

　個人的にエースというのは、何年後かに認められて初めて出てくる言葉だと思っています。その瞬間、瞬間でエースと呼ばれるのは、ある意味で自己満足だと思っています。そういう意味でも、僕が目標としてきた山本由伸さんは別格でした。エースはもっと結果で示さないといけないし、野球に取り組む姿勢を、後輩たちに見せなければいけません。

　例えば２０３０年とか、１０年後、２０年後に「宮城が引っ張ってくれたな」と思われる存在にならなければ、意味がありません。エースという立場で何年も投げ続けたいです。

　４歳の頃に野球を始めました。家の外から金属バットの音が聞こえてきて、少年野球チームの志真志ドラゴンズに「やりたいです」とお願いしました。きっかけは楽しそうだったからです。でも子どもの頃は決して裕福ではなく、道具も満足に変えませんでした。遠征費は当時の監督さんに立て替えてもらいました。だからこそ地元に恩返しがしたい。野球道具は高いので、グラブやバットを提供したい。一人でも多くの子どもたちが野球を好きになり、プロ野球選手を目指してほしい。思いを込めて、一昨年に「宮城大弥基金」を設立しました。

　プロ野球選手として、５年目を迎えます。欲がない人の方が少ないですし、僕自身も欲まみれです…（苦笑い）。僕と違って欲がないのは、愛犬の「ましゅ」と愛猫の「まろ」。勝っても負けても、同じように接してくれます。特に負け試合で温かさを感じます。食欲だけはすごいんですけど…。犬好きと言えば、大谷翔平さんも同じ。デコピンは本当に珍しい犬種で、かわいかったですね。愛犬家の共通点があるのは、ちょっとうれしかったりもします。ちなみに大谷さんは、勝利への欲が人一倍、強い方だと思います。

　今年はどのチームも「対オリックス」で来ると思います。由伸さんや（山崎）福也さんのおかげで勝てた部分もありますし、相手のマークが僕に集中することも覚悟しています。今年こそ、自分自身の実力を知ることができるチャンスです。目標は１５勝と１０個以上の貯金。開幕戦のマウンドに立つイメージをしています。受け身ではなく、必死にアタックして、リーグ４連覇と日本一を成し遂げます。　　（宮城　大弥）

【注１】昨年は６月１８日のヤクルト戦で６勝目を挙げてから５試合白星なしの２敗。８月９日のロッテ戦で７勝目を挙げた。

【注２】１１月５日の日本シリーズ第７戦に先発し、４回１死から森下にヒット、大山に死球をぶつけ、ノイジーに先制の３ランを浴びた。

　〇…宮城は座右の銘「一生百錬」をコラムのタイトルに選んだ。興南時代に読んだ本で出会った言葉で「何度も同じ練習を繰り返して、鍛えて強くなるという意味です。僕に一番、しっくりくると思いました」とうなずいた。高卒２年目から３年連続で２ケタ勝利を挙げてきたのも、常に謙虚さと向上心があるから。「試合に投げて、打たれて、鍛えて、まあ投げて、の繰り返しだと思っています」と頼もしかった。

　◇宮城　大弥（みやぎ・ひろや）２００１年８月２５日、沖縄・宜野湾市生まれ。２２歳。少年野球「志真志ドラゴンズ」、中学は「宜野湾ポニーズ」でプレー。興南では１、２年夏に甲子園出場。３年時にＵ１８日本代表に選出。１９年ドラフト１位でオリックス入団。２１年に１３勝を挙げ、パ・リーグ新人王。２３年ＷＢＣで侍ジャパンの世界一に貢献。１７１センチ、７８キロ。左投左打。推定年俸１億６０００万円。

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