ソフトバンクが、西武から国内フリーエージェント（ＦＡ）権を行使した山川穂高内野手（３２）を獲得する見込みであることが１３日、分かった。この日、山川の代理人と１時間ほど接触したとみられ、大筋合意したもよう。４年総額１６億円超の好条件が有力だ。早ければ週明けにも「ソフトバンク・山川」が誕生する。

　近年課題としていた「右の大砲」獲得へ、秒読み段階に入った。山川がＦＡ権申請期限だった１１月１４日に権利を行使してから１か月。慎重に獲得調査を進めていたソフトバンクが動いた。実績に見合う４年総額１６億円超などで誠意を示したとみられる。

　山川は今年５月に自身の不祥事が発覚。球団から無期限の公式試合出場停止処分を科された。今季は１７試合で打率２割５分４厘、０本塁打、５打点。だが、故障者特例措置によって国内ＦＡ権を取得した。代理人を通じて申請書類を提出した際には「これからの野球人生に対して重い責任を持ち続けることの覚悟」などと文書で理由を説明。すでに単年契約を提示し、宣言残留を認めていた西武に残るか、移籍するか、その後は沈黙を貫いていた。

　一方でソフトバンクは、山川が出場していた１０月の「みやざきフェニックス・リーグ」にプロスカウトを派遣するなど、意中の存在がＦＡ宣言した場合に備えてきた。しかし、球団内で獲得反対の意見が出ていたことも事実。三笠ＧＭはＦＡ選手が公示された１１月１５日に「山川選手は日本を代表する右打者」と評価した上で、「その事案（不祥事）についても、しっかり調査するというのが我々がまずやらないといけないこと。不起訴になったということは報道で知っていますけど、その背景も含めてですね」と、説明していた。

　それでも調査の結果、本人の反省具合を含めて問題なしと判断したようだ。獲得が決まれば、今季年俸が２億７０００万円の山川は、Ａランク（年俸上位１～３位）に該当することから「年俸の８０％」か「人的補償プラス年俸の５０％」を西武から求められるが、戦力として大幅アップは間違いない。巨人との交換トレードでウォーカーが加入したものの、その他の主力は柳田、近藤ら左打者がズラリ。通算２１８本塁打の山川が加わることで、左右のバランスが取れた最強打線が完成する。小久保新監督の下、来季は４年ぶりのリーグ優勝、そして日本一へ。最後のピースを取りにいく。

　◆山川　穂高（やまかわ・ほたか）１９９１年１１月２３日、沖縄・那覇市生まれ。３２歳。中部商では甲子園出場なし。富士大を経て、２０１３年ドラフト２位で西武に入団。１８年にＭＶＰ。１８、１９年に本塁打王に輝き、２２年は本塁打と打点の２冠。１８、１９、２２年にベストナイン。今年３月のＷＢＣ日本代表。１７６センチ、１０３キロ。右投右打。

　◆山川を巡る騒動の経緯　「文春オンライン」が５月１１日、山川が昨年１１月に当時２０代の知人女性に対して都内のホテルで性的な暴行を加えたとして被害届が出されていると報道すると、球団は翌１２日に「総合的に判断してコンディション的に」との理由で山川の出場選手登録を抹消。以降は３軍で練習を続けた。５月２３日に強制性交容疑で書類送検され、８月２９日に不起訴に。球団は９月４日に無期限の公式試合出場停止処分を科したが、非公式戦にあたる１０月の「みやざきフェニックス・リーグ」に志願して実戦復帰した。

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