引退を発表していた楽天の塩見貴洋投手が１２日、楽天モバイルパーク内で引退会見を行った。

　塩見は「今はもうすっきりしているという気持ちが、素直な気持ちですね」と穏やかな笑顔で語った。故障もあり３年契約を結んだ２１年からの３シーズンでわずか２登板。楽天を戦力外となり他球団のオファーを待ったが、オファーがなかったことで引退を決断した。「相談した人はいなくて、自分で決めました。家族からはお疲れさまという感じで言われて、子どもからは『もうちょっとやって』と言われましたが、パパもう限界だよと」と家族とのやり取りも明かした。

　思い出の試合には初登板初勝利を挙げるなど、１年目は９勝をマーク。それでも度重なるけがに泣かされ、２桁勝利には届かなかった。「１年目はいい形で活躍できて、これからしっかり投げて２桁いくぞという気持ちあったんですけど、そこからけがもして、いろんな経験もして、でも今思えばいい経験ができたなと思います。けがもすごいしましたけど、本当にいい経験ができたなと思います」と振り返った。

　今年は９月２１日の西武戦（楽天モバイル）の先発が、唯一の１軍登板。４回４安打４失点で負け投手となったが「グラウンドに出たときにすごい声援を頂いて、グッとくるものがあって、本当に感謝しています。でも雰囲気的に引退試合かなと。あの１試合があったから、こうやってすっきりした気持ちになれてるのかな」とかみ締めた。

　今後は「楽天に残って恩返しをしていきたいという気持ちが強かった」と、アカデミーコーチとして球団に残る予定。子どもたちに野球の楽しさを伝えていく。

　◇塩見　貴洋（しおみ・たかひろ）１９８８年９月６日、大阪生まれ。３５歳。帝京五高から八戸大を経て、２０１０年ドラフト１位で楽天入団。１年目に９勝９敗、防御率２・８５の成績を残したが、肩、肘、腰と度重なるけがにも悩まされ、２桁勝利には届かなかった。通算１５０試合に登板し４６勝５７敗、防御率３・８０。１８２センチ、７７キロ。左投左打。

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