ロッテ・佐々木千隼、9月からシュートを投げ始め復活気配も「全く一軍に貢献できなかった」…「投げて貢献できるようにしたい」

ベースボールキング

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2023.11.26(日) 10:00

ロッテ・佐々木千隼[撮影=岩下雄太]

 「全く良くない1年でした」。

 チームは2年ぶりに2位でクライマックスシリーズに進出したが、ロッテ・佐々木千隼にとっては苦しい1年となった。

 2年前の21年は開幕直後、ビハインドゲームでのロングリリーフを担当していたが、結果を残し続け序列を徐々に上げていき、東京五輪明けの後半戦からは勝ちパターンの8回を任され、プロ5年目で初めて最後まで一軍で投げ抜き、54試合、8勝1敗、26ホールド、1セーブ、防御率1.26の成績を残した。

 しかし、昨季は23試合に登板して2勝3敗1ホールド、防御率6.39と大きく成績を落とし、「やっぱり継続するのは難しいなと感じましたし、継続できている人、何年も継続している人は改めてすごいなと思いましたね」と継続して活躍する難しさを知った。

 今季に向けて「課題も見つめ直して吉井監督のもとでまたチームに貢献できるように頑張りたい」と意気込み、開幕一軍を掴んだが、一軍登板はわずか2試合にとどまった。

 ファームで過ごす時間が長く、「色々試しながらやっていて、その一つにノーワインドアップを試してみたりというのはありましたね」と、先発、リリーフと色々なポジションで投げたり、夏場にはノーワインドアップで投げたりと試行錯誤。3・4月はファームで月間防御率1.20、6月が月間防御率2.70をマークするも、5月が月間防御率7.71、8月が月間防御率8.10と好不調の波が大きかった。

 流れが変わったのは9月。ファームで「何かを変えたいなと思ったのと、大谷さんにアドバイスをもらったというのがありました。新しい球種、シュートをモノにしたいなと思ってやっていました」と、シュートに活路を見出した。シュートを投げ始めて、ストレートも145キロ前後を計測するなど、スピードがアップした。本人も「そうですね、真っ直ぐがちょっとスピードが出る感じなので、それをいいきっかけに真っ直ぐも速くなればいいなというのはありますね」と話した。

 捕手の松川虎生も「真っ直ぐももちろんいいっすけど、シュートの方がピッチャーボール的にも腕が振れていると思いますし、いい感じでボールがミットに向かってきている。シュートというところで、使っていけているんじゃないかなと思いますし、後半戦シュートを投げ始めてからすごく良くなったと思うので、そこはキャッチャーから見ていていい球が来ているなと思っています」と絶賛した。

 佐々木は9月9試合・9イニングを投げて、2勝1セーブ、防御率0.00と結果を残し、シーズン最終盤の10月6日に一軍再昇格。

 「すごい歓声は感じました。ただ(佐々木)朗希と間違えられているのかなと思いましたね」。

 10月6日のオリックス戦、(ZOZOマリンスタジアム)の12-1の9回に、約半年ぶりに一軍のマウンドに帰ってきた。佐々木千隼にとって今季、本拠地・ZOZOマリンスタジアムで初の公式戦登板。名前がコールされると、ライトスタンドのマリーンズファンから「ウォー〜」と大歓声が送られ、お馴染みの「千隼、千隼」のコール。これからマウンドに上がる佐々木千隼を後押しした。

 「久々に声援を感じたので、すごいい雰囲気だなと感じました」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年から3年間、声出し応援が禁止され、佐々木千隼がリリーフで大活躍した21年は拍手での応援だった。久しぶりにマリーンズファンの熱い声援を受けてのマウンド。佐々木千隼もファンの声援に応えるように、先頭の森友哉を1ボール1ストライクから117キロのスライダーで左飛に打ち取る。続く廣岡大志の初球、ファームで磨いてきたシュートをインコースに投げたが外れてボール。2球目の144キロの外角シュートでバットをへし折ったが、センター前に運ばれ、続く大城滉二に死球で一、二塁としてしまう。

 紅林弘太郎には1ボールとするも、2球目の142キロストレートが外角いっぱいに決まる。右打者の外角、左打者のインコースのストレートといえば、佐々木千隼がこれまでもこだわってきた部分。「あそこもシュートで投げられればいいなというのもあるんですけど、両方うまく使えていければいいかなと思います」。紅林を1ボール2ストライクから4球目の121キロスライダーで引っ掛けさせ遊併で試合を締めた。

 その後、一軍での登板がなく、シュートを実戦で投げる機会はなかった。10月29日の取材でシュートについて、「ちょっとしか経っていないのでわからないですけど、続けて試してみようというくらいにはなりました」と話していたが、11月16日の取材では「使えるレベルにしたいなという感じですね」と語った。

 シュートをモノにできれば、シュートと独特な軌道のスライダーと使い分けができる。ただ本人は「それだけで行こうと決めているわけでもないです」とし、シンカー、スライダー、シュートと持ち球を全て使って抑えていく考えだ。

 秋季練習ではシーズンオフの自主トレに向けて「強度を上げていく準備というか、そんな感じでやっていました」とし、キャッチボールでは「感覚を掴みたい」と遠投を多めに入れたり、キャッチボール後には「感覚を確認していました。澤田は結構、体の使い方が詳しいのでそういう面で聞いたりしていました」とキャッチボールパートナーだった同学年の澤田圭佑とキャッチボール後に、長い時間会話する場面もよく見られた。

 「全く一軍に貢献できなかったので、どんな形でも良いので投げて貢献できるようにしたい」。マリーンズファンも佐々木千隼が来季、再び一軍で躍動する姿を楽しみに待っている。

取材・文=岩下雄太

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