◆ＳＭＢＣ日本シリーズ２０２３第５戦　阪神６―２オリックス（２日・甲子園）

　「ＳＭＢＣ日本シリーズ２０２３」第５戦は阪神が逆転勝ちで３勝２敗とし、１９８５年以来、３８年ぶり２度目の日本一に王手をかけた。オリックスは阪急時代の１９７５～７７年に３連覇して以来、球団２度目の連覇へ後がなくなった。３日は試合がなく、４日の第６戦から京セラＤに舞台を戻す。

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　中嶋監督が痛恨の表情を浮かべ、宇田川はつらい涙を流した。「ここで三振を取ってくれるのは宇田川という感じでした」。２年連続日本一へ、ショッキングな１敗。オリックスが大どんでん返しを食らった。

　先発・田嶋が今シリーズの先発陣で最長となる７回無失点と好投したが、２点リードの８回に暗転した。上半身のコンディション不良から復帰した２番手・山崎颯が打者４人に３安打。１点差に迫られた１死二、三塁で宇田川を投入した。今季１度もなかったリリーフ陣の３連投を解禁。登板自体は第２戦から移動日を挟み、４試合連続だった。

　森下に２ボール２ストライクから「押し切ると決めていた」と１５２キロの直球を投げ込んだ。高め要求がやや低く入り、左中間へ逆転の２点三塁打を浴びた。昨年の日本シリーズから９回連続無失点でストップ。「監督の期待にも応えられなかった。一球で負けてしまった。一球の大切さを、本当に思いました」。さらに４番・大山にも中前へ落とされ、降板時には悔しさを抑えることができなかった。代わった阿部も、勢いを止められなかった。

　２勝２敗で第５戦を迎えた。王手をかけるため、全員が最善を尽くした。ＣＳ最終ステージで左足首を負傷した杉本は「５番・左翼」で電撃的にスタメン復帰。３打数無安打に終わったが、指揮官は「試合になれば、アドレナリンで何とかなるやろう」と背中を押した。救援陣では２連投していた好調の小木田をベンチ外。１日の時点で、初戦に先発していた山本にブルペン待機を伝えていた。

　勝ちパターンなら９回にエースが締め、最高のムードで本拠地に戻れる可能性もあった。「追い込まれたわけですから。開き直るわけじゃないですけど、京セラに帰れる。２つ勝たないといけない。そこを何とか頑張りたい」。状況は厳しいが、中嶋監督は最後の底力に期待。勢いを、流れを変える。（長田　亨）

　【記録メモ】

　▼７回無失点も　オリックス先発の田嶋が７回を無失点も勝敗なし。シリーズで７回以上を無失点ながら白星を手にできなかったのは、７人目。過去６人は味方が無得点、または１点のリード。リリーフが２点以上のリードを逆転されたのは初。

　▼初失点　宇田川が１点リードの８回１死二、三塁から登板。森下に２点三塁打、大山にタイムリーを打たれシリーズ初失点。昨年〈２〉戦の初登板から続いた連続無失点が９イニングでストップした。走者を得点圏に置いた場面では（Ｋ…三振、Ｂ…四球、×…凡打）

昨年＝ＫＫ×ＢＫＫＫ×Ｋ

今年＝ＫＫＫ［三］［安］

　この試合前まで打者１２人から９三振を奪うなどノーヒット。得点圏で許した初安打が手痛い一打となった。

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