藤川球児氏、オリックス・山崎颯一郎&宇田川優希KOは“二兎を追った”決断が「後手を踏むことに」

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2023.11.3(金) 05:30

8回、交代を告げられた山崎颯一郎(左)(カメラ・義村 治子)

◆SMBC日本シリーズ2023第5戦 阪神6―2オリックス(2日・甲子園)

 「SMBC日本シリーズ2023」第5戦は阪神が逆転勝ちで3勝2敗とし、1985年以来、38年ぶり2度目の日本一に王手をかけた。0―2の8回、1点差に詰め寄ると、森下翔太外野手(23)の2点三塁打で逆転。この回、打者一巡の猛攻で6点を挙げた。球団史上唯一の日本一に輝いた11月2日に今シリーズ初の連勝を飾った。オリックスは阪急時代の1975~77年に3連覇して以来、球団2度目の連覇へ後がなくなった。3日は試合がなく、4日の第6戦から京セラDに舞台を戻す。

 * * *

 オリックスは2点リードの8回に山崎颯をシーズン同様に“信用”し、マウンドに送り出したことが裏目に出た。第3、4戦でベンチ外だったように状態は良く映らなかったが、首脳陣としては第6戦以降を踏まえた場合、彼が再び重要な役割を担うことができれば、リリーフ陣の駒が増える。同時にできるなら宇田川の3連投を避け、休ませたい思惑があったのだろう。

 しかし、ピンチで宇田川にバトンをつなぐことになり、“二兎(と)を追った”決断が後手を踏むことになった。加えて、日本シリーズを通じて好投していた右腕も本来の姿ではなかった。高め釣り球要求の真っすぐを引っかけ、フォークは浮いていた。やはり、シーズンで1度も3連投を経験していない状況を考えれば、本人に自覚はなくても、ボールに表れてしまうもの。特に厳しい展開でいきなり…となれば、なおさらだ。走者を背負った場面に強いタイプとはいえ、イニングの頭からならまた違ったのかもしれない。

 もちろん、1死二、三塁で152キロ直球を捉えて逆転打を放った阪神のルーキー・森下は素晴らしかった。ポイントは2ボール2ストライクからの6球目。三振を奪いにきたフォークを痛烈な三塁線のゴロファウルにした。そのため、バッテリーはフォークを投げにくくなり、次のストレートを呼び込んだ。

 この関西決戦を見る限り、本当に両チームの実力はきっ抗し、五分だと言える。短期決戦特有の空気もあり、エラー一つで流れが変わる。それだけに、駒(選手)をどう使うか、ベンチの采配の戦いになる。第5戦はオリックスベンチが動いたことでほころびが生まれた。

 両軍ともにシーズン中は基本3連投をさせていない。第6戦まで1日空くことで、また駒がフラットになる。DH制のある京セラドームに戻り、どうなるか。勝負の行方はまだわからない。(スポーツ報知評論家・藤川球児)

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