ソフトバンク・小久保裕紀新監督（５２）が２３日、日本一奪回のテーマに「美意識」を掲げた。福岡市内のホテルで就任発表会見。契約期間は３年、背番号は２軍監督時代と同じ９０。３年連続Ｖ逸のチームに足りないものを「美しさ」と表現した指揮官は、王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー（８３）の「イズム」を浸透させることを誓った。

　抱いていた感情を包み隠さず言い切った。２２年から２軍監督を務めていた小久保新監督は、テレビを通じて目に入る１軍選手の振る舞いに「違和感」を持っていた。「美しさ、美意識と言ってもいいと思うんですが、そこが一番欠けているんじゃないかなと。『いかに美しくあるか』ということを共通認識として持ち合わせ、チームを作っていきたいと思います」。

　現役時代、王監督（現球団会長）の下で入団２年目から主軸を張った。王監督の教えが監督になった今も信念だ。「会長のイズムが何かと考えた時に、主力選手が先頭に立って、引っ張れる集団であり続けてきたと思う。そこで（今の）打の中心は柳田、近藤。全員が勝つために、同じ方に向かってやっていくには主力の手本意識は欠かせないと思ってます」。常に“見られている”意識を持つ重要性を説いた。

　「美しさ」とは―。「見た目を含め、プレーの美しさ、グラウンドでの振る舞い、インタビューの受け答え。愛されるチームになるには、全てつながってくると思う」。会見後、秋季練習初日の訓示では「勝利の女神は細部に宿る」という言葉を使った。２軍監督時代は若手に「脱いだ靴をそろえる」など、マナーを言い聞かせてきた。私生活から美しくなければ、この厳しい世界で勝ち切れないという考えだ。

　「目標はリーグ優勝、日本一。とにかくそこを目指します」。時代に即したやり方と古き良き伝統を掛け合わせ、常勝軍団を建て直す。（中村　晃大）

　○…小久保新監督が守護神の残留を熱望した。ＦＡ補強などフロントへの要望は「何もしてないです」としたが「戦術的にはオスナをどうするか。いなかったら話にならないんで」と今季限りで退団の可能性がある助っ人右腕について言及した。また、主将制度の撤廃を明言。藤本政権下で２年間キャプテンを務めた柳田の任を解いた。「勝ってた頃に主力張ってたやつがたくさんいるんで。わざわざ（いらない）というところです」と説明した。

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