◆２０２３　パーソルクライマックスシリーズ　パ・ファーストステージ第３戦 　ロッテ４ｘ―３ソフトバンク＝延長１０回＝（１６日・ＺＯＺＯマリン）

　「２０２３　パーソル　クライマックスシリーズ　パ」の第１ステージ（Ｓ）第３戦が行われ、レギュラーシーズン２位のロッテが劇的な逆転サヨナラで最終Ｓ進出を決めた。両軍無得点の１０回表にソフトバンクに３点先取されたが、その裏に藤岡裕大内野手（３０）が津森から起死回生の同点３ラン。最後は安田尚憲内野手（２４）がサヨナラ二塁打で決着をつけた。ＣＳで、延長戦での３点差逆転サヨナラは史上初。ロッテは、１８日からオリックスとの最終Ｓ（京セラＤ）に臨む。

　奇跡は起こった。同点の延長１０回２死一塁。安田のライナーが右中間へ飛んだ。必死の形相で走る一塁走者・岡に、三塁コーチャーは本塁突入を指示。頭から滑り込んだ岡が、送球より一瞬速かった。

　ソフトバンクはリクエスト要求も、決着を確信したロッテ・ナインは一足先にウォーターシャワー。安田はずぶぬれのまま、審判の判定が覆らず「セーフ」とコールされるのを聞いた。「こんな最高な試合になるとは。あの打席は記憶にないです」。４時間１８分の死闘の末、ロッテが２年ぶりのＣＳ最終Ｓ進出を決めた。

　１７年ドラフトで、１位が安田、２位が藤岡。２人が主役を張った。両軍無得点の延長１０回。今季初の３連投となった５番手・沢村がつかまり、３点を先行された。だがその裏、公式戦１本塁打の藤岡が大仕事だ。無死一、二塁から津森の初球真っすぐをガツン。右翼席に起死回生の同点３ランを突き刺した。「本塁打を打つくらいの気持ちだった。あまり覚えてないですけど、入ってくれると信じていた」。６歳下の安田が、お祭り騒ぎに乗った。ＣＳの延長戦で３点差をひっくり返したのは、史上初だった。

　安田は今季、公式戦でも両リーグ最多タイとなる３度の劇打を放ったサヨナラ男。この第１Ｓ初戦の６回には、２球続けてバント失敗の後に適時二塁打を放つ意外性も発揮し、吉井監督から「スーパー安田」の異名を頂戴した。指揮官は「（１０回は）ちょっと継投の順番間違えたんで『あっ…』と思ったけど。藤岡はすごい集中力。安田はスーパー安田だった」と、最敬礼した。

　３位から下克上で日本一を成し遂げた１０年以来１３年ぶりの日本シリーズ進出をかけて、王者オリックスに挑む。「この勢いのまま大阪に乗り込んで、またここに帰ってこられるように。絶対に帰ってきます！」と高らかにファンに誓ったのはスーパー安田。敵地でも、奇跡を起こす。（小田原　実穂）

　【記録メモ】セ・パ最多７度目の第１Ｓ突破

　▼…レギュラーシーズン２位のロッテが、対戦成績を２勝１敗として最終Ｓ進出を決めた。これで第１Ｓは８度の出場で勝ち抜いたのが７度目。０４～０６年パのプレーオフ（ＰＯ）とセ・パＣＳで第１Ｓを突破した回数は、６度で並んでいたソフトバンク（出場９度）を上回り最も多い。

　▼…延長１０回表にソフトバンクが３点を先制すると、その裏にロッテが４点を奪い逆転サヨナラ勝ち。ＰＯとＣＳの延長イニングで３得点以上は、この日のソフトバンクが３、ロッテが４度目。ロッテの４点は初。延長回で両チームが３点以上を取り合ったのは初めて。

　▼…ＰＯとＣＳのサヨナラ試合は、今年セ第１Ｓ〈１〉戦に次いで１５度目、そのうち延長サヨナラは６度目。０９年第２Ｓ〈１〉戦では、日本ハムがスコア４―８で迎えた９回裏にスレッジの満塁逆転サヨナラ本塁打などで５点を奪い、一挙に４点差をひっくり返した例はあるが、延長回で３点差以上の逆転サヨナラは初。ちなみに２５度ある日本シリーズでの延長サヨナラ試合でも、延長回で一挙に２点差以上を逆転したサヨナラ試合は、これまで１度もない。

関連ニュース

・【動画】劇的サヨナラ！最後は安田が決めた
・【動画】藤岡裕大が劇的同点３ラン！
・【ロッテ】劇的サヨナラで２年ぶりＣＳファイナルＳ進出…藤岡が起死回生３ラン、最後は安田が決めた
・【ロッテ】大一番で７回途中４安打無失点の小島和哉「一番いい形で中継ぎにつなげることができた」
・【ロッテ】小島和哉は７回途中４安打無失点の力投　２番手・西村へバトンを渡す