◆パ・リーグ　オリックス６ー２ロッテ（２０日・京セラドーム大阪）

　優勝マジックを２としていたオリックスが２位・ロッテを下し、３年連続１５度目（阪急時代含む）のパ・リーグ優勝を決めた。２点を追う７回２死から一挙６得点で球団としては初の京セラＤで胴上げ。中嶋聡監督（５４）にとっては自身が現役だった１９９５、９６年の連覇を超える偉業で、球団では７５～７８年の４連覇以来、４５年ぶりの快挙となった。

　＊　＊　＊　＊

　３万５６１９人が駆けつけた京セラドームが興奮のるつぼと化した。四球を挟み、６連打で打者一巡の６得点の大逆転劇。杉本の一打が敗戦ムードを変えた。２点を追う７回２死二塁。右腕・横山の外角カットボールを捉え、中前にはじき返した。「食らいついていくことだけを考えて打ちました！」。自身４戦連続となる適時打で口火を切った。

　今季は青学大の後輩・吉田正がＲソックスに移籍。穴を埋める活躍が期待される中、５月２日のソフトバンク戦（ペイペイＤ）で左ふくらはぎを痛めた。「肉離れしてから打球が飛ばず、捉えた打球がフェンス手前で失速する。足に力が入らない」。２１年の本塁打王がもがき苦しんだ。８月１８日に不振による２度目の２軍降格が決まった際には中嶋監督に告げられた。

　「このままじゃ終わるぞ」

　よもやの最後通告。帰りの駐車場で「打てない自分が情けない」と腹をくくった。９月上旬に昇格後は「力を抜いても出力が出せるように。今までで一番やった」というシーズン通した筋トレの成果が実り、存在感を発揮。そんな選手会長の雄姿に後輩が続いた。

　２死一、二塁から紅林が追い込まれながら右前に同点打。球場のボルテージが最高潮に達すると、２４歳の誕生日を迎えた野口が人生最高のバースデー優勝打を放った。一、二塁から内角速球に詰まりながらも右翼線へ。「一番いい誕生日プレゼントになった。去年（の誕生日）は試合に出ていなかったので」。さらに、中川圭が右中間へ２点三塁打。「いい打球が飛んでくれました！」。２軍監督時代に中嶋監督から「無敵の中川」と命名された男がダメを押した。

　１９日に「明日しっかり決めたい」と宣言していた指揮官は「７回まではさすがにうそをついたかなと思ってたんですけど、何とか逆転してくれた選手がすごい」と満面の笑み。日替わりオーダーで全員野球が強みの中嶋オリックス。チームカラーを象徴する集中打が頂点に導いた。（小松　真也）

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