◆パ・リーグ　ロッテ３―５楽天（２日・ＺＯＺＯマリン）

　希代のクローザーとしての階段をまた一つ上った。楽天・松井裕樹投手（２７）が５―３の９回に登板し、１回を完全投球。ナインとハイタッチを交わし勝利の余韻に浸った。「しっかり３人で切れたことが一番よかった」。８月３０日の西武戦（楽天モバイル）で１点のリードを守れず、セーブに失敗した悪夢を払拭した。

　中日一筋で通算４０７セーブを挙げた岩瀬（９度）に次ぐシーズン６度目の３０セーブに到達した。日本最多セーブの記録を持つレジェンドに対して「いつか機会があればお話ししてみたい」と憧れを持ち、「岩瀬さんが持っている記録は全部調べてますよ」と、昔から目標にしている。今春に行われたＷＢＣで背負った１３番は現役時代の岩瀬を意識したもの。リスペクトあふれる偉大な先輩に一歩近づけた。

　グラウンドを離れると、３歳の長女と、今秋で１歳を迎える長男のパパとして育児に励む。休日にはベランダに自家用プールを設置し、子どもたちと本気ではしゃぐ時間が心を癒やしてくれる。「長女のオムツ離れの時期がきていて、もう、この子のオムツが替えられないのかと思うと寂しくて、泣きそうになりますよ」と、時にはかわいらしい“悩み”も打ち明ける。家族とマウンド。２つの守るべき存在があるから成長できた。

　３位・ソフトバンクとは２差をキープ。「記録としてはいいことなのかもしれないですけど、もっともっと大事な戦いが続いている」。史上２人目の快挙も、もはや過去の出来事。松井裕の目には逆転ＣＳしか見えていない。（長井　毅）

　【記録メモ】松井裕（楽）が今季３０セーブ目。１５～１７、１９、２２年に次いで自身６度目のシーズン３０セーブ以上となった。最多は９度の岩瀬仁紀（中）で、松井裕はサファテ（広１、ソ４）、山崎康晃（Ｄ）とこれまで５度で並んでいたが、単独で２番目となった。また、通算２２７セーブとし、山崎（Ｄ）と並んで通算セーブ数で８位となった。

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