ロッテ・西野勇士が語る“復活力”「常に良くなること、向上心を持って」

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2023.8.26(土) 09:49

ロッテ・西野勇士 (C)Kyodo News

 ロッテの西野勇士は成績不振や右肘トミー・ジョン手術を受けたりしてきたが、その度に何度も立ち上がり復活してきた。

 西野は08年育成ドラフト5位でプロ入りし、12年11月に支配下選手登録。支配下1年目となった13年に9勝を挙げ、翌14年から3年連続20セーブ、14年には日米野球2014の日本代表に選出された。17年と18年はファームで過ごす時間が長くなったが、19年に先発、リリーフでフル回転の活躍で復活。

 20年も先発ローテーション入りへ向けて好投を続けていたなかで、開幕直後の20年6月29日に『右肘側副じん帯の手術』を受けた。長いリハビリを経て22年に一軍復帰し、同年は37試合に登板して3勝3敗15ホールド、防御率1.73、先発に再転向した今季はここまで13試合・81回を投げて、8勝3敗、防御率3.00と、先発陣に欠かせない働きを見せている。

 2年間の不振から「新しい感覚を掴み」復活した19年、トミー・ジョン手術から復活した22年と、復活する要因は何かあるのだろうかーー。

 「どうなんですかね、やっぱり常に良くなること、向上心を持ってやれているのはいいことなのかなと思います」。

 特に17年と18年は腐らずにロッテ浦和で黙々と若手選手と一緒に腐らずに練習していた姿が印象的。当時は復活すること、今だけでなく、その先を見据えて練習していたのだろうかーー。

 「今思えば正直、考えられていなかったのかなと思います。その時の自分の精一杯考えられることとかをやっていたと思うんですけど、今思えばもっとやれたんじゃないかなと思います」。

 19年の復活は、アメリカの野球施設ドライブラインで自主トレをしたことも大きかったのだろうかーー。

 「もちろん、はい。身につけてきたことものはいっぱいあると思うので。ドライブラインに関しては肘のことがあってパフォーマンスが戻ってこないというのがあって、なんで辿り着いたかは覚えていないですけど、日本の人が行く中では割と早い段階だったと思います。自分で検索したか、本当に伝手を辿ったのか覚えていないですけどね」。

 ドライブラインでのトレーニングをきっかけに、投手としての引き出しが増え、進化した西野勇士が見られるようになった。

 「いろんな気づきがあったし、そういう方向性はあるかもしれないですね」。

 西野自身の引き出しが増えたことはもちろんプラスになっている。引き出しは経験を積むことで見つけたのだろうかーー。

 「それもありますけど、個人的には僕は良い球、質の良いボールを投げようと、配球の面ではタム(田村龍弘)に任せている。あいつが組み立てくれている中で、このボールはこういうふうに使っていけるんだと自信とかを持たせてくれた。あいつのリードで。引き出しがそれのおかげで増えているのかなと思います」。

 経験プラス、田村龍弘の存在をあげる。田村とは長年バッテリーを組み、今季も8勝中6勝が田村龍弘がマスクを被った時にマークしたものだ。

 この先、負けられない戦いが続いていく。「とにかく自分の投げる試合は集中してゲームを作っていく。必ず試合にしてとにかく1試合を取れる確率上げられるようにしていきたいと思います」。苦しい状況のたびに何度も這い上がってきた背番号「29」は、大逆転優勝へ向け負けられない大事な一戦でチームに勝利をもたらすためマウンドに上がる。

取材・文=岩下雄太

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