【楽天】史上最長1時間46分遅延試合の裏側も赤裸々告白…Bリーグ仙台89ERS会長から転身した森井誠之球団社長インタビュー

スポーツ報知

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2023.8.26(土) 05:50

本拠地・楽天モバイルパーク宮城のグラウンドでポーズをとる楽天・森井誠之球団社長(カメラ・関口 俊明)

 8月1日付で就任した楽天・森井誠之球団社長(49)が、このほどスポーツ報知のインタビューに応じた。プロ野球史上最長となる1時間46分遅れで行った試合の裏側についても赤裸々に告白。Bリーグ仙台89ERSの会長から転身した経緯や、観客動員数増に向けた今後の球団方針について迫った。(取材・構成=長井 毅)

 就任から約1か月。スポンサーへのあいさつ回り、前代未聞の珍事件が起こるなど森井新球団社長は怒涛の日々を送っている。

 「(8月初旬は)いろんなことがありました。週末ごとに天気も悪くて、大気も不安定で。僕は職員に『日本球界初のことをやろう!』と、言ってきたんですけど、まさかの球界初の1時間46分遅れの試合開始を体現してしまった。お客様には申し訳なかったのですが…」

 真っ先に話題に上ったのがプロ野球史上最長となる1時間46分遅れでの開始となった11日のオリックス戦(楽天モバイル)。

 前日10日のソフトバンク戦(ペイペイD)を終えて、選手たちの道具を載せた便が午前7時に福岡を出発した。羽田空港からは陸路で仙台を目指す正規ルートで、東北道の事故多発によって荷物を積んだトラックが渋滞に巻き込まれた。緊迫していた当時をこう振り返る。

 「(到着までに)だいぶ余裕もあった中で東北道で事故が3件起こった。『ギリギリ5時に着きます』と言われていたのが、その10分後には『(午後)6時になります』と連絡が来た。僕らとしてもビックリ。もともと渋滞状況が2キロだったものが、何十キロになればそうなりますよねと。(試合開始が)午後6時だったのが結果的に(同)7時になった」

 試合開始が遅れるアナウンスが流れると、球場は観衆のため息で包まれた。

 「僕も知らなかったことなんですけど、7時半というのが、何となく(試合決行の可否を決める)デッドラインだと言ってたのが、野球協約を見れば、相手チームと協議をする上で(双方が合意となれば)実行ができるとなった」

 石井監督を交えた話し合いが行われた。オリックス側の了承も得た上で7時スタートを目指した。結局、トラックが到着したのは7時5分だった。

 「駐車場に(道具搬入の)プロフェッショナルな方々がずっと並んでいて、トラックが見えた時には涙、涙でした。控え選手もみんな一緒になって道具を降ろしてくれた」

 遅延騒動の裏側では職員たちが機転を利かせて通常、5回終了時に打ち上げる花火を試合開始前に観客にお披露目するなど観客を退屈させない試みに奔走した。最終的に球審によってプレーボールが宣言されたのが7時46分。試合は岸の完封で2時間37分で終了した。

 球団社長の打診があったのが6月末。当時はB1仙台の会長を務めていたが、楽天グループ内での人事異動の話が浮上。自身も契約満了の時期が近づいていた頃だった。

 当然ながら楽天グループの総帥・三木谷浩史会長(58)からも電話があった。第一声は「お客様が減っているんだよ。森井は前から(営業本部長として)ずっとやっていたし、仙台でネットワークがあるだろう。何とかお客様に戻って来てもらいたいんだよね」

 自分を必要としてくれている言葉に胸を打たれた。考える間もなく、オファーの受諾を問われ、次の瞬間には即答していた。

 「もちろんです」

 2007年に楽天野球団に入社し執行役員営業本部長も経験した。コロナ禍以前と比べて入場者数は1試合平均3000人程度も減少。チケット代の高騰に対する不満や、ファンクラブ加入者数の減少もSNSなどを通じ見ていた。外部にいた人間だからこそ分かることもある。その点を踏まえて対応に動くことを明言した。

 「チケットは価格幅をどう持たせられるか、だと考えています。消費者の皆様に寄り添って、同じ気持ちでどうあるべきなのか、決めないといけない。ダイナミックプライス(需要と供給に合わせる価格)、フレックスプライス(試合の日時による価格)で変動させていける。今の時期はこうだよねとか、ユニホームが付くならこうだよねとか、コントロールをして売り上げを確保しながら(サービスを)ご提供していく」

 ファンクラブ会員の特典ユニホームも、原料費の高騰を理由にネーム入りでの提供ができなくなった。ファンの「元に戻してほしい」との声も耳に入っている。

 「原価の高騰は間違いなくある。ただ、その理由だけの話で本当のニーズではない選択をしてしまったなら、そこを頑張ってでも、お客様が増える方がいいんじゃないかと。来年は戻す意向で話をしています」

 大事にしているモットーは星野仙一元監督(享年70)もよく使っていた「覚悟に勝る決断なし」

 「覚悟を持って『大丈夫だ』と、お客様に信念を持って言えるかどうか。大事にしていることは常にお客様を見ないといけないこと。そこにこそ答えがある」

 “かじ取り役”の長い航海が始まった。

 ◆森井 誠之(もりい・まさゆき)1974年7月26日、神奈川・川崎市生まれ。49歳。明大から広告会社勤務を経て2007年に楽天野球団入社。取締役営業本部長、J1神戸に出向し、副社長などを歴任。22年3月に退職。22年7月から23年7月末までB1仙台89ERSの会長を務めた後、同年8月に楽天野球団社長に就任。

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