勝ち続けるしかない2位ロッテ 勝利に大きく貢献したキャプテン・中村奨吾
ベースボールキング
- ニュース
2023.8.23(水) 09:54
2月8日のライブBPの時のロッテ・中村奨吾(撮影=岩下雄太)
○ ロッテ 5 - 3 ソフトバンク ●<17回戦・ZOZOマリン>
2位・ロッテは今週、3位・ソフトバンク、首位・オリックスと対戦するが、その初戦となったソフトバンク戦に5-3で勝利した。
本塁打を含む3打点のポランコと共に、勝利に大きく貢献したのがキャプテンの中村だ。0-0の初回二死走者なしの第1打席、先発・スチュワートの初球のストレートをライト前に運ぶと、続くポランコが第16号2ランを放ち幸先よく2点を先制。
2-2の3回二死走者なしの第2打席も、スチュワートの初球のストレートをレフトスタンドへ勝ち越しの第10号ソロ。これが中村にとって2年連続の二桁本塁打となった。
さらに追加点の欲しい3-2の5回無死一塁の第3打席、1ストライクからスチュワートが投じた2球目のストレートをセンター前に弾き返し、一塁走者の藤原が三塁へ進みチャンスを広げる。続くポランコがライト線に適時二塁打、ブロッソ―のレフトへの犠飛でこの回2点を挙げた。
この日チームが放った安打数は5安打だったが、中村が3安打、ポランコが2安打。打線に関しては中村、ポランコの一打によるところが非常に大きかった。
◆ キャプテン・中村の存在感
チームトップの103試合に出場する中村は開幕から状態が上がらず、4月終了時点で打率.146だった。5月は月間打率.338と復調も、6月、7月ともに月間打率は.208と、状態が上がってきそうで上がってこないという日が続いていた。
それでも、送りバントやランナーが二塁にいるときには進塁打、中村が二塁走者の時には「なかなか浅いフライだと強引に行ってもアウトになったらダメなので、三塁にいけるような距離を出してくれる打球を打ってくれているのかなと思います」と、外野フライで積極的に三塁にタッチアップするなど、数字には残らない部分での貢献度は高く、率が上がらない中でも自分のできる仕事をしっかりと行ってきた。直近でも得点につながらなかったが、8月18日の楽天戦では4-1の9回一死一、二塁でポランコの左中間後方の中飛で二塁走者・藤岡が三塁にタッチアップすると、センター・辰己が中継に入ったショートに送球する間に一塁走者の中村も二塁へタッチアップ。“1つ先の塁を狙う”姿勢を見せた。
ここ数年の中村を見ていると、自分の数字よりもチームの勝利に徹しているように感じる。そのことを6月に取材した時に中村に伝えると、「そういうふうに見てもらって、そういうふうに評価していただけることはとてもありがたいと思います」と逆に中村から感謝の言葉をいただいた。
またこの時の取材で、中村は「状況判断しながら、ここは何が最善なのか、最低限何をしないといけないのか、色々考えながらやっていけば、また勝ちも増えていきます。一番は自分がもっともっと打率を上げて、ヒット数を増やしていってというのが一番、いいかなと。進塁打もヒットになればチャンスが広がるので、そういうことを意識してもっともっと打てるようにやっていきたい」と話していた中で、8月は月間打率.288、現在17日の日本ハム戦から5試合連続安打中と復調気配だ。
このチームで優勝したいという想いを持って、昨年取得したFA権を行使せずに残留した。首位・オリックスと「7.5」差と今は背中が遠いが、シーズンが終了するまで何が起こるかわからない。22日のソフトバンク戦後のヒーローインタビューで中村は「ここからチーム一丸となって前を向いて戦っていくしかないと思うので、ファンの皆さんも戦ってください」と宣言した。キャプテン・中村を中心にチーム一丸となって、目の前の試合を必死に戦い勝利を積み重ねた先に、明るい未来がきっと待っているはずだ。
取材・文=岩下雄太