◆パ・リーグ　楽天５―０オリックス（１１日・楽天モバイル）

　お盆休み初日に思わぬトラブルに見舞われた。楽天―オリックス戦（楽天モバイル）のプレーボールは超異例の１時間４６分遅れ。高速道路の事故渋滞などの影響で楽天の野球用具を積んだ車の到着が大幅に遅れたため、１８時開始予定だった試合が１９時４６分に始まった。テンポのいい投球で２時間３７分で試合を終わらせた岸は「たくさんの方が暑い中待ってくれた。何とか勝って喜んでもらえたらなと思って頑張った」。仙台の地では初となる完封勝利で、大歓声を浴びた。

　楽天は１０日まで福岡市のペイペイＤでソフトバンクと対戦。試合用のグラブ、バットなどは空路で東京・羽田に運ばれ、そこから陸路で約３７０キロ離れた仙台へ向かった。だが、東北道は朝６時半に福島・本宮市の下り線で事故が起きて夕方近くまで約３０キロの渋滞が続くなど、お盆の帰省ラッシュも重なりノロノロ運転。１４時１５分の楽天の練習開始にはもちろん間に合わず、最終的に用具が到着したのは、１９時５分だった。

　チームはとりあえず球場にあった用具で練習を行った。１６時半頃には、球場に試合開始を１時間遅らせるアナウンス。１８時５５分に再度、開始遅延が告げられた。スタンドはため息と驚きが入り交じり、５回裏終了時に行われる花火が、試合前に前倒しで打ち上げられた。

　降雨以外での長い開始遅延では、１９７３年４月２７日の中日―巨人戦（中日）で巨人バスが渋滞に巻き込まれた影響で１時間６分遅れたケースなどがある。ただ、１時間４６分の遅延となると、異例中の異例だ。

　石井監督はメンバー交換時に中嶋監督や審判団へ謝罪。「業者の方が、勝つための野球道具を持ってくる努力をしてくれたことに感謝します」と頭を下げた。２万２３１３人のファンに勝利を届けたのは２２時２３分。最高のプレゼントでお返しをした。（内藤　菜月）

　◆楽天用具車　苦難の旅　約３７０ｋｍ

　▽１４時１５分　楽天練習開始

　▽１５時３０分　練習終了

　▽同　オリックスの選手へ中嶋監督から説明

　▽１６時３０分　１９時開始のアナウンス

　▽１８時５０分　１９時４５分開始に変更とアナウンス

　▽１９時０５分　用具車到着、運搬

　▽１９時２５分　試合前アップ開始

　▼１９時４６分　１時間４６分遅れで試合開始

　▽２２時２３分　試合終了

　◆ＮＰＢの主な遅れ・中止　２２年９月２４日のヤクルト対ＤｅＮＡ（神宮）は降雨の影響で開始時間を３度スライドさせて１時間３０分遅れで開始。セで降雨による最も遅れたケースになった。今回と同じケースで用具が届かず試合開始が変更になったのは６７年１０月９日のサンケイ―中日（横浜平和）で、試合球が到着せず、３７分遅延。また、１７年８月１１日の広島―巨人（マツダ）ではユニホームが到着せず、３０分遅延した。７９年７月１３日の日本ハム―南海（後楽園）では東名高速日本坂トンネル火災の余波で道路が渋滞したため、南海の用具が届かず、１８年７月６日の中日―ヤクルト（ナゴヤＤ）は豪雨により、ヤクルトの用具到着が遅れ、ともに中止となった。

　◆パ・リーグ　アグリーメント　第２章　試合日程　▽第１４条２　（抜粋）試合開始予定時刻を変更するに当たっては、午後７時３０分までを目途とし、変更する試合開始時刻について、当該両チームの試合管理人が協議、決定のうえ、直ちにパ・リーグ統括に承認を求める。

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