◆パ・リーグ　西武３×―２オリックス（４日・ベルーナドーム）

　まさか、入るわけがない。９回１死。中堅後方へ伸びる打球を目で追いながら、西武・岸潤一郎は全力で走り出した。「最近、フェンス際で取られることが多いので全力で走ってました」。一塁を回ると歓声がひときわ大きくなった。放物線はバックスクリーン左の客席へ伸びていった。自身初となる３号サヨナラソロ。本塁上でバンザイすると、笑顔でウォーターシャワーの祝福を受け止めた。「人生初めてなのでめちゃめちゃ気持ちよかったです」とずぶぬれになりながら喜びをかみしめた。

　６月１４日の巨人戦（東京ドーム）で１軍に昇格してからは相手投手との相性、調子によって先発しない日もあるが、準備は怠りない。この日は先発の長谷川が足をつって、８回から右翼の守備へ。９回がこの日最初の打席だった。「試合もスタメンでここ何試合か出られてない中で、いつでも試合に出る準備はしっかりしていたので結果が出ていうれしいです」と言葉を弾ませた。

　チームは今季３度目のサヨナラ勝ちで３連勝。投手陣が踏ん張り、打線が少ない好機をモノにするなど投打がかみ合っている。「スタメンじゃない人はいつでも行けるようにバックアップしてますので、チームが一つになって勝っていけてると思います」と岸が言うように、チームに一体感が表れている。最大１８あった借金は８まで減って、３位ソフトバンクとのゲーム差は４・５に。「夏場に強いライオンズ」の本領を今こそ発揮する時だ。

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