ロッテ・中村稔弥「チームに流れを持っていけるピッチングがしたい」。有言実行の働きで逆転劇を呼び込む

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2023.7.16(日) 07:35

ロッテの中村稔弥(撮影=岩下雄太)

◆ 2020年以来の白星

 ロッテの中村稔弥が15日の楽天戦、4-7“の8回にマウンドに上がり、テンポの良い”ピッチングで逆転劇に繋がる好リリーフを見せ、20年9月11日のオリックス戦以来となる白星を手にした。

 7月4日に一軍再登録された中村はこの日が、一軍再昇格後初登板。先頭の村林一輝を遊ゴロに打ち取ると、続く小深田大翔をツーシームで空振り三振、簡単に2アウトを奪う。小郷裕哉にセンター前に運ばれ、続く浅村栄斗の打席中に二塁盗塁を決められたが、浅村をツーシームで空振り三振に奪った。

 その裏、ポランコの犠飛、角中勝也の押し出し四球、岡大海の2点適時三塁打などが飛び出し一挙5点を奪い逆転に成功すると、9回は守護神・益田直也が試合を締めて、8回の1イニングを無失点に抑えた中村が勝利投手となった。


◆ ファームではロングリリーフを想定して準備

 プロ5年目を迎える中村は、昨年10月に行われたフェニックス・リーグで真っ直ぐのラインに強いボールを投げること、ツーシーム、カウントをしっかり取れるようにテーマを持って行い、好感触を掴んだ。1月の自主トレではフェニックス・リーグでよかったことを継続し、2月のキャンプに入った。

 2月12日に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合で「この前のBPから調子は良くなってきていて、真っ直ぐは力が伝わっていたので、ブルペンもこの前も良かったですし、今日もしっかり強く投げられたボールはあったんじゃないかなと思います」と、2回を無失点に抑えた。

 練習試合がスタートしてからも3試合・9回を投げ、失点は2月28日のソフトバンク戦での2失点のみ。2月22日のDeNA戦では4回・無安打、無失点とアピールした。「ストレートの調子はいい感じで投げられていますし、自分の中では感覚一通り、指先に伝えられて投げられているかなと思います」。オープン戦でも2試合・3イニングを無失点に抑えていたが、3月12日の楽天戦を最後にファームで調整することになった。

 「オープン戦の時は良かったので、調子を維持するためにキャッチボールからフォームとかを崩さないように意識しては取り組んでいました」。

 「とにかく二軍では打たれない。無失点で抑える、その中で変化球とかも高さにこだわったり、1球1球意識して投げていました」。

 ファームでは3試合・4イニングを投げ1失点に抑え、4月12日に今季初昇格。今季初登板となった4月20日の日本ハム戦、走者を出しながらもなんとか無失点に抑えると、続く4月25日の西武戦も1回無失点に抑えた。しかし、そこから登板がなく5月4日に一軍登録抹消された。

 「長いイニングを投げられるように体力つけて、暑いんですけどランニングをしっかりして体力つけることを心がけていました」。ファームでは6月20日の巨人戦、6月27日の日本ハム戦では先発し、日本ハム戦では5イニングを投げた。先発で投げてはいたが、「一軍でも長いイニングを投げられるように意識していましたね」と、ロングリリーフを想定して投げた。

 7月4日に一軍再昇格。「とにかく無失点で抑えてチームに流れを持っていけるピッチングがしたいです」と昇格直後の取材でこのように話し、15日の楽天戦で見事に有言実行の働きを見せた。一軍定着に向け、活躍を継続できるかどうか。中村はロングリリーフだけでなく、先発もできチームとしてもとても貴重な存在。今は、与えられた場所で結果を残し続けていきたい。

取材・文=岩下雄太

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