◆パ・リーグ　ソフトバンク２―４オリックス（２５日・ペイペイドーム）

　右翼席に視線を送り、オリックス・山崎福が奥歯をグッとかみしめた。「やっぱり、ギータさんということで。さすがですね…」。６年ぶりの完封が見えた９回２死一塁から柳田に２ランを浴び、平野佳と交代。通算３９打数１９安打の天敵にシャットアウトは阻まれたが、リーグトップタイの６勝目をつかんだ。

　首位攻防戦は山本、山岡で連敗。チーム事情から３日前に先発が伝えられたが、今季最長の８回２／３を４安打２失点。制球良く、クイックなどでリズムも工夫した。「（連敗は）気にせずにやりましょう」と声をかけてくれたのは若月。右打者へのカットボールも効果的で、コンビを組んで５連勝を飾った。

　連勝前の５月１２、１８日の登板で連敗。得点後に失点する傾向があり、打たれ始めたら止まらないイメージがついた。もがき、苦しんだ時に知ったのが日本ハム・加藤貴の思考。同じ９２年生まれの左腕は「（打者は）どうせ打つんでしょ」と開き直ることを大切にしていた。気後れすることなくストライクゾーンへ投げ込む姿。映像を何度も見返し、発見と刺激があった。

　ロッテとの勝率差で３位に下がったが、首位・ソフトバンクとはゲーム差なし。「惜しかったな」と降板直後にねぎらってくれた中嶋監督は、１９年の２軍監督時代にも手助けをしてくれた存在だ。体調不良から復帰後、指揮官にとっても初勝利。「（９回続投は）やめよ、次からは。サチ（山崎福）の場合は、そうしとかないと…」と冗談込みの“辛口指導”で、潜在能力を引き出していくつもりだ。

　シーズンの折り返しを待たず、昨季の５勝を上回った。勝ち星で同僚の山本、宮城、山下らと肩を並べた先発陣最年長の３０歳は「若い人たちにも負けていられない」と自己主張した。女性ファンによる「オリメン投票」４位で、名前に「山」がつくオリックス山脈の一角。最もアツい、プロ９年目を過ごしている。（長田　亨）

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