【西武】佐藤隼輔に救援の心得「抑えて当たり前」…担当記者コラム

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2023.6.16(金) 06:00

西武・佐藤隼輔

 記者の習性か。僕の悪癖か。ミスをしたり敗因をつくったりした選手が次戦、ヒーローになろうものなら「やり返しましたね?」と聞いてしまう。先日もあった。5日のDeNA戦(横浜)で4点リードの8回に登板し、1イニングを無失点に抑えた西武・佐藤隼輔投手を取材した時だ。前日4日、4点リードの8回に登板し3失点。逆転負けのきっかけをつくっていた。その翌日の好投。「やり返しましたね?」という安直な問いに「『やり返す』というのがちょっとよく分かりません」と淡々と返された。

 6回3失点で「試合をつくった」と評される先発投手に比べ、救援投手は失点して負けにつながろうものなら“戦犯”扱いにされる場合もある。だが、佐藤隼は失点の翌日、無失点でも表情を崩さなかった。「みんな『やり返す』と言うのですが、僕らは1イニング抑えて当たり前の立場なので」とどこまでも冷静だった。

 21年ドラフト2位で筑波大から入団した2年目左腕は昨季、先発ローテ入りして3勝を挙げた。思い切りのいい腕の振りから投げる速球は最速155キロ。スライダーも切れる。絶対的セットアッパーの平良が先発に転向。“新8回の男”として白羽の矢が立った。

 4日の試合後、豊田1軍投手コーチは佐藤隼に「気持ちを強く」と声をかけた。2度の最優秀救援投手に輝き157セーブ、81ホールドを記録。救援投手の気持ちは誰よりも分かる。2日連続で救援に失敗しようものなら、佐藤隼も自信を失いかねない。それでも似た状況で連投させたのは、期待と信頼の表れだ。同コーチは「打たれて不安だったでしょうけど、そこを乗り越えられたというのはすごく価値のある1イニングだったと思います」と息をついた。

 「豊田さんからも『気持ちを強く』と言われているので、それだけは変えずにいきたいです」と佐藤隼。ホールド数は14日時点でチームトップタイの12。“新8回の男”のホールド数が増えていけば、西武は前半戦の低迷を「やり返す」ことができるはずだ。

(西武担当・秋本 正己)

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