◆日本生命セ・パ交流戦　巨人３―１０日本ハム（４日・東京ドーム）

　日本ハム・野村佑希内野手（２２）が４日の巨人戦に「６番・三塁」で２試合ぶりに先発出場。花咲徳栄高（埼玉）で同期だった松井颯投手（２２）から２１試合ぶりの６号３ランを放った。打線も１４安打で今季初の２ケタ１０得点と爆発。交流戦２カード連続勝ち越し＆２年連続の巨人戦勝ち越しを決めた。

　全ての感情を雄たけびに込めた。２―１の３回２死一、二塁。野村は高校時代のチームメート・松井の高め１４７キロ直球を振り抜いた。恩師や友人たちも固唾を飲んで見つめた白球は、高々と舞い上がって左翼席に吸い込まれた。「同級生に負けたくなかった」と２１試合、８５打席ぶりの６号３ラン。復活の一撃で、戦友をＫＯした。

　花咲徳栄３年時は野村がエースで４番、松井が控え投手だった。寮生と通いで右腕は「頭のいいクラス」。投手練習ではいつも一緒に汗を流し、時には球速を競い合った。プロと大学。卒業後の道は分かれたが一昨年のオフには食事をし、５月のプロ初登板初勝利の際には祝福メッセージを送った。Ｂチームで黙々と努力していた姿は、今でも目に焼き付いている。「１軍の舞台で対戦できて本当にうれしい」。純粋に対戦を楽しみ、不振を抜け出した。

　試合前時点で得点圏打率は１割８分３厘。ことごとくチャンスで凡退してきた。先発を外れた３日も、途中出場から２度の絶好機で空振り三振。開幕から４番で使い続けてくれた新庄剛志監督には「チャンスは与えている。これをモノにできなかったらそれまでの選手」と厳しい口調でハッパをかけられた。

　一夜明けた４日の試合前練習。指揮官に呼び寄せられると、両肩を力強くつかまれた。「自分で気にしてるほど、世間はキミのこと気にしてないよ。頬上げなさい。笑ってこうよ」。心はスッと軽くなった。４回は中田翔の打球を好捕、６回にも中前打を放ち８戦ぶりにマルチ安打を記録した。試合後、ガッツポーズを繰り出して報道陣の元へ歩み寄った指揮官は「本当に放り込みやがった。期待に応えてくれるわ～」と興奮が収まらなかった。

　直近６試合連続で４番を務める万波も「すごいうれしかった。打てない気持ち、チャンスで返せなくてチームが勝てない気持ちは痛いほどわかる。同級生でずっと一緒にやってきたので」と野村の復調を喜んだ。「この一本をきっかけにしていければ」と背番号５。新時代を託された２２歳が、豪快に復活の狼煙（のろし）を上げた。（堀内　啓太）

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