◆パ・リーグ　オリックス１０―４日本ハム（２１日・京セラＤ大阪）

　１０年の時を経て、日本ハムに「二刀流ルーキー」が帰って来た。８回に「ピッチャー・矢沢宏太」がコールされ、３万１１４８人の視線がマウンドに注がれた。プロ初登板となった２２歳は「久々の投手でしたけど、楽しかったです」。ＮＰＢでルーキーイヤーに投手と野手で出場するのは、１３年の大谷（現エンゼルス）以来の快挙となった。

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　宝刀がさえ渡った。先頭の宜保を３球目の外角低めスライダーで平凡な一ゴロに打ち取ると、巨人から移籍の広岡、茶野もスライダーで２者連続の空振り三振。「０で帰って来られたので、それだけで良かった。内容はできすぎ」と１回無安打無失点２奪三振の満点デビューを振り返った。直球は「８割くらい」の力感で最速１４８キロを計測。新庄監督からは「よかったね。キレもあったし。いいものを見せてもらいました」と最大級の賛辞が飛び出した。

　待望の“投手解禁”だった。新人時代から先発だった大谷とは違い、野手に加え、登板が展開に左右される「中継ぎ投手」の投打二刀流という前例なき挑戦。チームは開幕から外野の一角を担う野手としての負担を考慮して「登板可能日」を設定し、慎重に初マウンドを模索してきた。

　野手での先発と試合前のブルペン調整の予定がないのが大前提。さらに、点差がついた展開などが条件となる。５月は１カードに１度のペースで、今カードは１９日にブルペン入りした矢沢は「今日は『登板可能日』だったので投げるかもと思っていた」と、７点差の８回から準備開始。条件がそろい、出番が来た。

　チームは４連勝でストップも、新庄監督は次回登板について「点差に余裕のあるときに。今度は勝ち試合で投げさせてみたい」と方針を明かした。「どんな形でもチームに貢献できればいい」と矢沢。新二刀流ルーキーが、プロ野球界に新風を吹き込む。（内田　拓希）

　◆大谷１年目の二刀流　１３年３月２９日の開幕戦・西武戦（西武Ｄ）に「８番・右翼」でスタメン入りし、４打数２安打１打点の衝撃デビュー。投手では５月２３日のヤクルト戦（札幌Ｄ）で初登板初先発し、５回６安打２失点で勝敗はつかなかった。シーズン成績は投手が１３登板で３勝０敗、防御率４・２３。野手は７７試合で打率２割３分８厘、３本塁打、２０打点だった。

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