【楽天】松井友飛、プロ初勝利「不思議っすね」高校時代1勝もできなかったのに

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2023.5.5(金) 05:45

プロ初勝利を挙げ、石井監督(右)と記念写真に納まる松井友(カメラ・池内 雅彦)

◆パ・リーグ 楽天6―0ロッテ(4日・楽天モバイル)

 念願のウィニングボールを手にすると、松井友はうれしそうにはにかんだ。ベンチの最前列。祈るように声援を送っていた右腕は勝利の瞬間、笑顔で仲間とハイタッチを交わした。「(石川県立穴水)高校時代1勝もできなかったのが、プロに来て1勝できるというのはすごい不思議というか、不思議っすね。本当に」。プロ2度目となる今季初登板で、待望の初勝利をつかみ取った。

 初回2死一、三塁。ポランコをカーブで二ゴロに抑えると、5回2死二塁でも藤原をカーブで三振に仕留め、5回3安打無失点。粘りの投球が裏のビッグイニングにつながった。この日の最速は148キロでカーブ、カットボールがさえた。2奪三振ながら打たせて取る投球で、ロッテ打線を封じた。

 高校時代は約10人の野球部に所属。いわゆる部活動で県大会では1勝もできなかった。そこから金沢学院大に進学。恩師の角尾貴宏監督は「器用に感覚をつかめる子だった」と振り返る。大学2年時に明治神宮大会に出場。初戦の九産大戦は硬いマウンドにスパイクが滑り、ストライクが入らず2回途中で降板。しかしその後、神宮に形状が近い東大野球部のマウンドで練習を行うと、すぐに感覚をつかみ修正。2回戦の関大戦では5回3安打2失点とリベンジを果たした。

 プロ初登板となった22年7月8日の西武戦(楽天生命)。多くのファンの前で投げるのは初めてで「プレッシャーには弱い方」と、緊張に押しつぶされ4回4失点。2度目のチャンスで力に変えた。勝利の重みを知る右腕は「一勝一勝、重ねていけるような選手になりたい」。強豪校出身でなくても、一歩ずつ前進すればプロでも活躍できる。(内藤 菜月)

 ◆松井 友飛(まつい・ともたか)1999年10月11日、石川・穴水町生まれ。23歳。穴水小3年から穴水学童野球クラブで野球を始め、投手を務める。穴水中軟式野球部では外野手。穴水高で投手に再転向。金沢学院大では1年秋と2年春に北陸大学リーグでベストナイン。2021年ドラフト5位で楽天に入団。190センチ、87キロ。右投右打。

◆昨年3月死去の父・真二さん捧ぐ

 松井友が初白星を捧(ささ)げたかった人がいる。がんの闘病生活をしていた父・真二さんが昨年3月に60歳で天国へと旅立った。プロ入りして間もないオープン戦期間中に訃報を受けた。

 「どんな試合でも休みだったら見に来てくれた。ごちゃごちゃ言わずに静かに見守ってくれた」という最愛の存在。1月の入寮のため、仙台に向かう際に実家の最寄り駅まで見送りに来てくれた時に笑顔でかけられた「頑張って」が、最後の言葉だった。

 「その時はまだ元気だったので、まさかそんなことになるとは…」。精神的にもつらい時期を乗り越えて昨季は2軍で6勝をマーク。イースタン初勝利のウィニングボールは仏壇の前に供えた。お立ち台では1軍の記念球は「実家に送って飾りたいと思います」。そう言って笑みを浮かべる息子の姿を、真二さんも天国からきっと見守っていただろう。(東北支局・長井 毅)

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