首位・ロッテの強み“投手力” 今季6回終了時にリードしていれば11勝0敗

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2023.4.24(月) 09:17

ロッテの選手たち(C)Kyodo News

 ロッテは本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われたソフトバンク戦に6-2で勝利し、この3連戦に3連勝し、単独首位となった。

 ソフトバンクの先発・大関友久には昨年から抑え込まれ、今季も開幕戦で対戦し7回、わずか2安打しか放てず、得点することができなかった。ロッテ先発・種市篤暉がソフトバンク打線を封じ投手戦に持ち込まなければ、勝利するのが難しい展開になると予想された。

 この日は初回に2番・藤岡裕大が二塁打を放てば、2回に得点に結び付かなかったが満塁の好機を作った。試合は3回に動く。先頭の藤岡が二塁打で出塁すると、中村奨吾がインコース難しいストレートを強引に反対方向へ一塁ゴロを放ち藤岡を三塁へ進める。4番・山口航輝がきっちりとライトへ犠牲フライを放ち先制した。

 4回も先頭の井上晴哉が二塁打、佐藤都志也の死球で無死一、二塁とし、大下誠一郎がきっちりと初球で送り、二死後、1番で出場した平沢大河がライト前に適時打。

 先発・種市は初回に33球を投げるなど球数を要したが、1度も三塁ベースを踏ませなかった。ここが種市の凄さでもある。走者を出しても、2回で言えばガルビスを併殺打に打ち取ったり、3与四球だが先頭打者への四球は1度もなかった。先頭打者をきっちり打ち取っていたことで、失点に繋がらなかった。種市は5回・103球、4安打、7奪三振、3与四球、無失点としっかりと試合を作った。

 2-0の6回は先頭の佐藤が二塁打、続く大下の四球、一死後、平沢の右安で満塁とし、藤岡がきっちりとセンターへの犠牲フライで3点目。7回も先頭の山口が中安、一死後、井上の左安で一、二塁とし佐藤の3ランで試合を決めた。

 2回以外は、先頭打者が出塁した3回、4回、6回、7回は得点を挙げた。特に3回無死二塁で中村が一ゴロで二塁走者を三塁に進めた場面、そして4回に無死一、二塁で大下が初球で送りバントを決めた場面は、チーム打率が低くても得点力のあるここ近年見せるロッテらしさが出た攻撃だ。何気ないワンプレーだが、こういった1つ1つの積み重ねが次の1点につながっていく。

◆ 勝ち試合をしっかり勝つ

 “先行逃げ切り”。ロッテは先制した試合現在4連勝中。先制してそのリードを投手陣が守り切る。なかなか得点が見込めないチームにとって、投手陣の出来不出来はチームの勝敗に大きく関わってくる。ソフトバンクの3連戦では、初戦の佐々木朗希が7回無失点、2戦目の西野勇士が7回無失点、3戦目の種市が5回無失点と先発した3投手はいずれも無失点に抑えた。

 先発がゲームを作れば、リリーフ陣で逃げ切る。救援防御率はリーグワーストの3.70だが、今季ロッテは6回終了時点でリードしていれば、11勝0敗。

 今季のブルペンは決まった形の“勝利の方程式”を採用しておらず、場面や状況に応じてリリーフ投手をうまく起用し、現在は複数の勝利の方程式を作ろうとしている最中だ。今季初勝利した4日の日本ハム戦は、7回・ペルドモ、8回・澤村、9回・益田だったが、翌日は0-0の7回に中森俊介、2-1となった8回・ペルドモ、9回・益田で逃げ切り。ペルドモ、益田が連投となった6日は2-0の7回に小野郁、3-1の8回は坂本光士郎とカスティーヨ、6-1となった9回は西村天裕が試合を締めた。

 14日のオリックス戦は2-0の8回、今季初めて勝ち試合の8回に益田が登板し、9回・澤村で逃げ切れば、19日の日本ハム戦はペルドモ、益田が連投中ではなかったが、4-2の7回に唐川侑己、8回・小野、9回・澤村で勝ち切るパターンも。

 黒木知宏投手コーチはリリーフ陣の登板管理について「色々考えていますね、選手に負担をかけないようにというところと、勝負どころでいかないところとバランスをとりながら、監督とプランを立ててやっています」と話せば、ブルペン担当の小野晋吾コーチは「(リリーフ陣に)僕がすることは状況を見ながら、なるべく準備の部分で早め早めにしてもらって、疲労が残らないように意識して声がけはしています」と、1年間投げるために疲労が溜まらないよう心がけている。

 2年連続で2位に入った20年、21年はリリーフ陣の出来が非常に良かった。20年は6回終了時点でリードした試合は44勝3敗1分、特にこの年、本拠地・ZOZOマリンでは6回終了時点でリードしていれば、24勝1敗と圧倒的な強さを見せ、7月11日の西武戦以降、6回終了時点でリードしていた試合は20連勝でシーズンを終えた。翌21年も6回終了時点でリードした試合は49勝5敗6分で、4月24日のソフトバンク戦から9月5日の日本ハム戦にかけて引き分けを挟んで28連勝ということもあった。

 上位争い、優勝争いするためにも、リリーフ陣が鍵を握る。リードした試合はとにかく勝ち切る。今現在リーグトップにいる要因のひとつが、勝ち試合を落とすことなく勝利しているから。勝負の夏場に向けて、リリーフ陣の負担がかからない投手起用をしながら今後もこの状態を維持できるか。また、ロッテというチームは近年、突然連敗したかと思ったら、大型連勝をするなど好不調の波が大きい。ただ打線が打てなくても、投手陣が逃げ切れるだけの得点をとってもらい、そのリードを守り抜ければチームとしての好不調の波も減る。この先も“レバレッジ方式”が機能すれば、チームとして大きな強みになる。

文=岩下雄太

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