ＷＢＣ日本代表のソフトバンク・近藤健介外野手（２９）が栗山監督に恩返しの世界一を誓った。昨オフ、ＦＡで日本ハムから移籍。通算出塁率４割１分３厘を誇るバットマンは代打起用も覚悟していたが、鈴木誠の辞退によりスタメン出場が現実味を帯びてきた。指揮官が日本ハム時代から厚い信頼を寄せる必殺仕事人は、かつての同僚・大谷（エンゼルス）との共闘も原動力に戦う。（取材・構成＝中村　晃大）

　近藤の立場が変わってきた。２月２５、２６日のソフトバンク戦（サンマリン宮崎）では２試合で４打数４安打２四球と出塁率１０割。代表に選出された当初は「メンツ的に見たら代打なのかな」と“代打侍”も覚悟していたが、鈴木誠の辞退もあり、外野の一角として打線の重要な役割を担う可能性が浮上した。

　「どこ（の守備位置）でもできる準備をしたいなと思いますし、（２６日に）センターの守備に就けたのは良かったと思います。（打順も）どこでも打てる準備をしたいですし、まずは塁に出ること。走者がいるならそこは臨機応変に変わると思いますけど、任されたところで結果が出るように調整していきたいです」

　「結果」で報いたい人がいる。侍ジャパンの栗山監督とは日本ハムの監督、選手時代からの師弟関係だ。

　「同期入団というか（１２年に）一緒にファイターズに入って、我慢して使ってもらって。栗山さんが監督じゃなかったらここまで来てないと思いますし、その分も恩返しできるようにと考えています。栗山さんが求める野球はある程度理解しているので、みんなに還元したいですし、栗山さんを世界一の監督にしてあげたいと思っています」

　豊富な経験も生きる。１９年のプレミア１２では左翼のレギュラー、２１年の東京五輪では代打として世界一に貢献。勝つ喜びを味わってきた分、フォア・ザ・チームの精神は人一倍だ。

　「まずはチームうんぬんより、自分がどういう立ち位置にいるのか理解することが大事だと思うんで。選ばれた選手はみんな、自分で自分の役割を考えてできる選手ばかり。全員がホームランバッターではないですし、僕みたいなタイプもいますよね。例えば、打席で粘ることで調子のいい投手が球数制限に達して、早く降りることになればプラスになると思います。粘り強さは日本の伝統。自分の仕事を全うできるように頑張りたいです」

　もう一つ大きなモチベーションがある。あの男の存在だ。昨年１２月からＷＢＣの話題が出る度に「また大谷とプレーできることをうれしく思います」と口にしてきた。１３～１７年の５年間は日本ハムで同僚。１つ年下だが、練習の方法など多大な影響を受けた。

　「僕が知っている翔平は２０１７年が最後。どれだけ進化したのか、フリー打撃も見てみたいです。当時から、翔平のことは小学生がプロの選手を見るような感覚で見てしまっていたので。『飛ぶな～』とか『速いな～』って。メジャーでの活躍も、刺激というよりはファン目線ですね」

　２人はプライベートでも親交が深く、大谷が近藤の実家に２連泊したこともあるという。１６年には球団１０年ぶりの日本一を達成。今度は世界一を狙う。

　「けっこうご飯にも行きましたね。普段から野球の話が多くて、翔平も勝ちたい欲が強いので『優勝しましょう』とか、そういう話はよくしていました。今もちょくちょく連絡はしてるんですけど、今回は『よろしく』みたいな感じの文章でＬＩＮＥしたら、『頑張りましょう』と。基本短いです。他人に興味がないというか、冷めてるんで（笑い）。でも、また一緒に優勝に貢献できたら最高だなと思います」

　◆近藤　健介（こんどう・けんすけ）１９９３年８月９日、千葉市生まれ。２９歳。横浜高から２０１１年ドラフト４位で日本ハム入団。１９、２０年に最高出塁率。ベストナイン３度。昨年１２月、ＦＡでソフトバンク移籍。昨季は９９試合に出場し、打率３割２厘、８本塁打、４１打点。通算１０１４試合、打率３割７厘、５２本塁打、４４６打点、出塁率４割１分３厘。１９年のプレミア１２、２１年の東京五輪で日本代表。１７１センチ、８６キロ。右投左打。年俸２億５５００万円。

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