【30人の侍】ソフトバンク・周東佑京、代走切り札の覚悟 失敗したら「地獄」 盗塁成功率「100%以上」

スポーツ報知

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2023.2.24(金) 05:30

走塁練習に取り組む周東

 WBC日本代表のソフトバンク・周東佑京内野手(27)が、代走の切り札として「自分が失敗したら負ける。地獄だと思います」と悲壮なまでの決意を口にした。役割を理解し、盗塁成功率「100%以上」を自らに課した。19年のプレミア12で優勝に大きく貢献した“神の足”が再び世界を震撼(しんかん)させる。(取材・構成=中村 晃大)

 最大の武器を生かすため、周東は走塁練習でも打球をしっかりチェックしている。WBC球とNPB球では伸びや変化が異なるという。最高のスタートを切るために、宮崎合宿で自身の感覚とのズレを修正している。

 「普段よりちょっと見ながら。慎重になりますね。1点欲しいところで行くのでしっかり準備したい」

 “代走の切り札”としての期待を背負う。13年の第3回大会、2次ラウンドの台湾戦で鳥谷が見せたような世紀の盗塁(※)は「中野(阪神)君に頑張っていただきたい(笑い)」と冗談で和ませつつ、最後は真剣な目つきで言い放った。

 「自分が失敗したら負けると思ってます。本当に1点が欲しい時に行くじゃないですか。地獄だと思います。でも、なるべく(盗塁成功率は)100%でいきたい。いや、100%以上で。栗山監督には『厳しい場面で行くかも』というお話もされましたし、重圧はかかると思いますけど、走塁ひとつで勝てる試合もあると思うので、楽しんでやれたらいいなと思います」

 “ジョーカー”の出番は競った展開の終盤だ。野球ファンの記憶に残るのは19年のプレミア12。スーパーラウンド初戦のオーストラリア戦では1点を追う7回無死一塁で代走出場。二盗、三盗から同点のホームを踏み、逆転勝利につなげた。全て途中出場ながら、通算4盗塁で大会盗塁王。鮮烈すぎる世界デビューだった。

 「あんまり覚えてないんですよね。本当に一生懸命やってただけなんで。点を取るためにはどういう動きをすればいいか。それだけを考えてたと思います。ただ、普段のシーズン中も決めて当たり前だという重圧があるので。(大切なことは)一歩を出せるか、ビビるのか。もう、それだけだと思ってます」

 NPB通算118盗塁で失敗は20。成功率86%を誇るが、国際大会には魔物が潜む。基本的には日本球界よりクイックやボークの基準が曖昧で、20年には“世界新”となる13試合連続盗塁を決めた周東でも戸惑うことは珍しくない。

 「モーションは(日本人投手より)外国人の方が大きいですけど、そもそも動きが速かったり、捕手の肩が強かったり。いろいろ日本と変わってくるところもあるんで。特に左投手は怖いです。(昨年11月の)強化試合でも本当に分かんないと思ったんで。(本番までに)一番やらなきゃいけないのはそこ(の対策)かなと思います。あとは運です。こっち投げてこないでよって(笑い)」

 右肩手術明けの昨季は出場80試合。ソフトバンクで定位置を確保しているわけではない。日本代表では途中出場がメインで打席数が減少する。シーズンへの影響も少なからず出るだろうが、迷いはなかった。

 「次の大会は30歳を超えてきますし、選ばれるかどうか分からない。最初から選んでもらえるなら頑張りたいと思ってました。WBCがあったから調整が遅れたと言い訳もしたくないですし、工夫してできることは必ずあると思うので」

 昨年12月24日。待望の侍選出は“栗山サンタ”からの電話で告げられた。

 「『これがクリスマスプレゼントになるか、そうならないかは分からないけどね』と。プレゼントかどうかは終わってから分かると思います。クソみたいな失敗して、日本中に叩かれたら、そうじゃないと思うんで。自分次第ですね。最大限の力を出して優勝に貢献できるように頑張ります」

 ※注 13年の第3回大会では、2次ラウンド初戦の台湾戦(東京D)で1点を追う9回2死一塁から鳥谷が二盗に成功。井端の同点打を呼び、延長10回での逆転勝利につなげた。

 ◆周東 佑京(しゅうとう・うきょう)1996年2月10日、群馬・太田市生まれ。27歳。東農大二、東農大北海道を経て、2017年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。19年3月に支配下登録。20年に育成出身初の盗塁王。昨季は80試合で打率2割6分7厘、5本塁打、15打点、22盗塁。通算355試合で打率2割4分7厘、10本塁打、53打点、118盗塁。19年プレミア12日本代表。180センチ、71キロ。右投左打。今季年俸4000万円。

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