【30人の侍】山本由伸「ヒット一本すら打たれたくない」必ず世界一を…独占コラム「球道夢想」特別版

スポーツ報知

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2023.2.21(火) 05:30

キャッチボールの準備をする山本由伸(カメラ・岩田 大補)

 WBC日本代表のオリックス・山本由伸投手(24)が20日、完全無欠の投球での世界一奪還を誓った。2年連続で沢村賞に輝くなど、タイトルを総なめにしている日本のエースは「ヒット一本すら打たれたくない」と闘争心を吐露。現時点では3月12日の1次ラウンド(R)オーストラリア戦(東京D)の先発が有力視されるが、昨年末に視察した米マイアミでの決勝Rまでのフル回転を思い描いた。スポーツ報知の独占コラム「球道夢想」の特別版として、侍ジャパンへの熱い思いと、飽くなき向上心を語り尽くした。

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 日本代表のユニホームを着ると、やはり気持ちがグッと引き締まります。いよいよWBCが始まるんだ、と。各チームのトップ選手が集まるだけではなく、今回はダルビッシュ投手も参加されています。その空間に身を置き、プレーできることはなかなかないので。僕にとって毎回、すごくうれしくて貴重な経験です。

 沢村賞をはじめ、昨年もたくさんのタイトルを受賞することができました。周りの方に祝福してもらえることはありがたいですが、僕の中ではもう終わったこと。誇りにしたり、自慢することはありません。今回の代表メンバーのように、これからもたくさんすごい選手は出てきます。本当に頑張らないといけない、という気持ちしかないので。

 初めてのWBCですが、当然、世界一という目標があります。たくさんの期待も感じています。投手としては、とにかく打たれたくない。勝ちたい。その思いだけです。極端に言えば、ヒット一本すら打たれたくありません。たとえヒット一本でも、打者との勝負としては負けなので。打たれない、完璧に抑えるのというのが究極の理想です。

 昨年12月には、佐々木朗希投手とマイアミを訪れました。WBCで準決勝、決勝を戦うことになるローンデポ・パークも見させていただきました。「すげえ…」と声が出るような雰囲気で、ものすごい興奮しました。京セラドームやほっともっと神戸の中に、初めて入った時のようなワクワクした気持ち。あそこのマウンドで投げ、勝つために、この宮崎合宿でも練習から全力を尽くします。

 できるだけ理想に近づける投球をして、栗山監督の思いに応えたいです。ここまで日本のチームを率いてこられ、重圧や緊張は選手と同等か、選手以上かもしれません。それでも僕の顔を見れば、いつも気にかけてくださいました。「体、大丈夫ね?」とか「けが、気をつけてね」とか。何げない会話に愛情があり、優しい方だと感じています。

 先頭に立つ栗山監督が「世界一になることだけを考えています」と強い気持ちでいてくださるのは、選手としてはすごく心強いです。栗山監督にならい、とにかくチームのために…という気持ちを第一に持っています。自分のため、自分のため、と思ってプレーする選手は、あまりいいと感じたことがないので。

 例えば先発ではなくて「この場面、行ってくれ!」という状況が来るとするなら、行くしかないと思っています。そこで「無理です」という選択肢はありません。

 さて、1月のコラムでは投球フォームの変化について書かせていただきました。そこまで力を入れている感じではないのに、すごく球が行く。そのイメージを膨らませつつ、特に「どこまでも伸びる直球」を求めてきました。ずっと僕の体を見てくださっている先生に教わりながら、体重移動の仕方など、時間をかけて練習や工夫を重ねてきました。

 これまでと違うのは、あまり左足を上げなくなったところでしょう。クイックのようにも見えますが、打者をだまそうとか、そういう気持ちはありません。野球がうまくなりたい。もっともっと、質の良いボールを投げたい。そういった気持ちの先に、いろんな変化があると思っています。フォームのことを言葉にするのは本当に難しいですが、僕の中ではあまり、新しいフォームという感覚はありません。毎年毎年の積み重ねでもあるので、もしかしたら今のフォームがゴールではないかもしれません。

 僕はまだ24歳です。野球人生で言えば、スタート地点です。正直に言って、まだまだです。僕なんかより球が速い投手はたくさんいます。前にも触れましたが、すごい選手は数え切れないほどいます。もう少したてば、大谷翔平さんや吉田正尚さんも、チームに合流します。最高の空間で、最高のパフォーマンスを発揮し、必ず世界一を取り返します。(オリックス投手)

 ◆今春の山本 キャンプ初日に19年先発転向後最速のブルペン入り。8日には実戦形式に初登板し、156キロを計測した。14日の紅白戦では157キロ。17日から侍強化合宿に参加し、ドジャースが4人態勢でチェックする中、19日にブルペンで36球を投げた。

 ◆山本 由伸(やまもと・よしのぶ)1998年8月17日、岡山県生まれ。24歳。都城高(宮崎)では甲子園出場なし。2016年ドラフト4位でオリックス入団。19年に最優秀防御率、20年に最多奪三振。22年は26登板15勝5敗、防御率1.68。2年連続で最優秀防御率、最多勝、最高勝率、最多奪三振、最多完封、パMVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞、最優秀バッテリーの10冠。通算149登板54勝23敗、防御率1.95。178センチ、80キロ。右投右打。

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